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「ゆーいっ・・・今日帰りにお茶してかない?明日の作戦会議も兼ねてさっ」
美優と二人で倉庫に音響BOXを片付けて出てきたところで、由美子が待ち構えたように言って来た。
「えっ・・・えっとぉ、わたしっ・・・ちょっと用事が・・・」
「じゃあ美優は?」
「え、あっ、あたしもちょっと・・・」
「ええー、そうなのぉ?」
由美子はがっくり肩を落として、すごく残念そうにした・・・
隠してるのがちょっと罪悪感・・・
美優にちょっとめくばせ。気がついてくれるかな?
ちょっとうなずいてくれた・・・多分通じたよね?
「あ・・・えっとぉこのあとぉ、わたしの水着・・・買いに行こうっていう・・・」
「え?」
由美子がとたんにキラキラした顔になって、ぐいっと近づいてきた。
「そっ!それって、楽しそう!わたしも行っていい・・・って、あっ!」
ノリノリで寄って来たと思ったら、突然止まって、わたしと美優の顔を交互に眺めて・・・
なんか良からぬことを考えたのかしら??
「おっ・・・おじゃまじゃなければ・・・」
さっきの勢いがすっかりなくなって、消え入るように語尾を濁した・・・
これってぜったい勘違いしてるよね・・・っていうかホントは勘違いじゃないんだけど・・・勘違いしてるわよっていう対応しないと・・・
「あっ、ぜんぜんっ、大丈夫っ、あたしもさっき言われたばっかだしっ・・・」
あっ・・・美優が頑張ってくれた。
手をぶんぶん振って。関係無いよアピール!
ちゃんと追いかけないと。
「うん、一緒に行きましょう。わたしも選ぶの、ちょっと自信ないから、みんなの意見も聞きたいし」
「そっ・・・そう?じゃ、みどりとカンナもいいよね?言ってくるね!」
「ええ」
由美子はとびっきりの笑顔に変わって、トトトッと駆け出して向こうの壁の方にいるみどりとカンナに駆け寄っていった。それを眺めながら、わたしは美優につぶやいた。
「いいわよね?」
ちょっと間が開いて、美優が答えた。
「うん。あたしたちにはまだ、いっぱい時間があるし」
「・・・そうよね」
そうだといいなって思う自分に、ちょっと不思議な気分で問いかける第三者のわたしがいた。
(そこ、“そうだといいな”ってことは、そうならない未来も選択肢にあるって思ってるってことなんじゃないの?)
突然降ってわいた考えにヒヤッとして、首をフルフルと振った。
「どしたの?」
美優が聞いてきた。
「何でもないわ。ちょっとブルってしただけ」
「寒いの?」
「ううん・・・」
みどりとカンナが由美子から聞いてなんだか盛り上がって、わたしたちの方に駆けよって来たので、その会話はそこまでになった。
「優依ー、はやく行こう!行くならあそこだよね、駅の向こう側にある、ファッションビル!」
「そうね」
「優依さんんー、かわいいの買いましょうね?絶対ですよ?」
「そっ、そうね・・・」
ふたりの勢いに押されながら、部室をあとにした。
うーんと・・・誘ったの、失敗したかしら・・・
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