わたしは地に足がつかなくて

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「あっ、ねぇねぇ、これなんてどぅお??」 みどりがめっちゃ楽しそうな顔をして私の前に持ってきたのは・・・ 真っ赤なマイクロビキニ!? 「ちょっちょっ待って?わたし、こんなすごいの着れないわ?」 「てへー・・・いや、やっぱ一度は勧めないとねー、お約束だもんねー」 「そんなこと言って、みどり、あわよくば着せようとたくらんでるんでしょ?」 「えへーばれた?だって、わたしじゃ似合わないの確定だけど、優依ならって思うとさっ!」 そう言いながら、わたしの前にあてがってみて、なんかブツブツ言ってる・・・ 「いやぁ、ぜったい似合うと思うんだけどなぁ・・・こっちも良さげだけどなぁ・・・」 そういってもう一つ出したのは、ハイレグのモノキニ・・・しかも、胸元がばぁって開いてて、ヒョウ柄・・・ 「みどりっ!大阪のおばちゃんでも着ないわ、こんなの!」 「あははっ、ごめんごめん。でもほら、こんなのを試せるのは今しかないって思ってさっwww」 もぉ・・・真面目に選んで欲しいわ・・・ 「ところでさぁ、去年のとかは着れなかったの?」 由美子が棚にあるのを眺めながら聞いてきた。 「わたし、去年はプールも海も行ってなくて、中2の時に買ったのしかなかったのよね」 「あーーー」 なんか、由美子の視線がわたしの胸に・・・ 「それは無理よね、さすがに・・・」 「だっ・・・だからっ・・・今買っておけば来年も着られる・・・そうよ!来年も着られるデザインがいいわ!」 「・・・そう?来年、サイズ変わらない??」 「うっ・・・」 「はい、負けー。デザインはともかく、今ちゃんと着れるのを買おうねー」 「・・・はい・・・」 なんか・・・別に何ってわけじゃないけど・・・ くやしいような悲しいような・・・ ふと横を見ると、美優が笑いをかみ殺していた。 「・・・美優ぅ・・・」 ちょっと恨めしそうにつぶやいてみた。 「あはっ、あっ・・・えっとぉ・・・うん、ほらっ、ほらっ、これなんかどうぉ?」 なんかごまかし気味に、あわてて手元にあったディスプレーのを指さして言った。 「美優、ごまかしきれてないわ」 「ええっ・・・あははっ・・・だって・・・っかわいっ・・・」 なおも笑いをかみ殺しながら、ディスプレーの下にある棚に手をかけた。 もう、美優ってば・・・またそんなことっ・・・顔が火照っちゃ・・・ って、あれ?美優の手元にあるのが・・・なんかいい感じ? 「美優、それ・・・ちょっと貸して?」 「えっ?どれ?」 「その手元のライトグリーンのやつ」 「あ、この小さい花柄レースのやつ?」 「レース・・・よね?」 いぶかし気に美優が渡してくれたのを見ると・・・ ビキニなのだけど、ブラの方にはブラトップのところに長めのフリルがついてて可愛い感じ。なにより!ボトムは短いパレオを巻いたようなデザインで、おしりの大きいのを隠してくれる!!! これは! 花柄レースは、白いレースでできたタンクトップになってて、それもいれて3点セットになってる! これはっ!かわいいわ。偶然とはいえ、美優が手をかけた棚にあったってこともポイント高いわ! 「優依?気に入った感じ?」 美優がおそるおそる聞いてきた。 「ええ!これ、これよ。可愛いわ」 「そっか、良かった」 「えっ?どれどれ?」 横からみどりとカンナが別のを持って近寄って来た。 「ほら、どお?可愛くない?」 わたしが言うと、みどりもカンナもほぉーっていう顔をして眺めた。 「優依さんー、そういうのが好みなんですねぇ・・・じゃあ、これも良いかもですぅ」 カンナがそう言って、持ってきたうちの一つを取り出して見せてくれた。 レモンイエローの生地に少し大きめのトロピカルな花柄・・・ えっ?水着用のハンガーにかけてあるのに、ぱっと見はワンピース・・・ これで水着? 「これー、可愛いですよねぇ・・・スカートがついてるから、おしりが隠れるんですよ?優依さん、おしりがコンプレックスって言ってたじゃないですかぁ、だから、これどうかなーって」 「カンナー、ありがとう!覚えててくれたのね?」 「そりゃそうですよぉー、わたしはいつでも優依さん推しなんですからー」 「ねぇ・・・優依、これは?」 カンナに感動してたら、由美子が横からまた違うのを持ってきた。 「これもおしり隠れるわよ?」 「ああ・・・これもかわいいわね」 「でしょ?だてに優依と友達してないわよ?」 そういって渡してくれたのは、淡いパステルピンクと濃いめのエンジのチェック柄で、シンプルな生地を複雑な布の構成でかわいく見せている、ちょっとおしゃれなビキニ。バストのところを斜め合わせにしてあって、アンダーにもタックをかけてフリル付きのカーテンが流れるような感じに仕上げてある。 ボトムはミニの巻きスカートみたいな印象で、左太もものところが合わせになってすこし中が見える感じ。そこがちょっとセクシーなのだけど、後ろがちゃんとスカートになってるから、おしりは隠れるわ! 「ああー、どれもかわいくて迷うわ・・・ねぇ、美優はどれが・・・」 って見たら、なんだか美優が微妙に不機嫌な顔をして立っていた。 あっ・・・もしかして、最初に選んだのそっちのけで、カンナのや由美子の見て舞い上がってたから? んもう・・・素直なんだから・・・ 「どっ・・・どれも可愛いと思う・・・」 そう言って美優はなんだか、ちょっと恥ずかし気にそっぽを向いた。 えっ?不機嫌なんじゃなかったの? なんだろ・・・気になるわ・・・ 「ねぇ、せっかくだから、試着してみてよ!」 みどりが、ものすごぉーーーい好奇心の塊っていう顔をして、近寄って来た。 その勢いに押されて、この3着を試着することになった。
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