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「いや、そこまで神経質になることはないだろう。まあ、同じ階の人にはタオルか何かを持って行ったほうがいいかもしれないが。そんなに住人どうしのつながりがあるわけでもないし。私も、別の階の人となると、たまにエレベーターで一緒になるくらいで、ほとんど話したこともないよ」
「へえ、そういうものですか」
「何か困ったことがあったら、いつでも私に言ってきてくれ。力になるよ」
「ありがとうございます。頼りにしてます」
それじゃ、と言いながら小西は手を挙げてマンションのなかに入って行った。
コンビニで小さな弁当と菓子パンを買って、部屋に戻った。あらためて、まだぜんぜん片付いておらず段ボールが縦に積み上がった様子を見ると、少しうんざりした。どこで弁当を食べようか。
和室は布団だけ出して片付いていない。リビングは少し暑い。となると、洋室しかない。
まったく気にしない、とは言っても、やはりできるだけ避けたいという気持ちはあった。しかし、もうローンも組んで買ってしまったのだ。いつまで経ってもその気持ちが消えるわけでもあるまいし、慣れる以外に仕方がない。
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