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最後に見せてもらったのは、通路側にある洋室だった。焦げ茶色のフローリングの上には、15センチほどの白い皿が部屋のすみに置いてあって、その上には盛り塩がしてあった。天井のほうに目を遣ると、物置代わりなのか、ずいぶんと高い位置にロフトが設置してった。前の所有者がここで首を吊ったのは一目瞭然だった。
さすがに田中は少し気まずそうな顔をしている。まさか自分から、「ここでお亡くなりになったんですよ」などとは言い出しにくいのだろう。
「住宅ローンは、本当にだいじょうぶ?」雰囲気を変えるために、垣田がそう尋ねる。
「はっきりとしたことは言えませんが、きっと大丈夫ですよ。垣田さんはきちんとしたご職業をお持ちですし。ウチで金融機関のご紹介もしています」
バーテンダーという商売を、「きちんとしたご職業」などと言われたことは、初めてだった。垣田は自分を、文字通り日の当たらない場所に棲息していると思っている。
「金利って、どれくらいなの?」
「今だとだいたい、0.9%くらいですかね」
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