〇〇差別

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「へえ。見た感じだと、もうちょっとあるような気がするけど、そんなもんか」専務が言った。そして、遠くを指さして、「隣のアレは、何の建物なの?」 「あ、運送屋さんですね。あの建物は物流倉庫になってます」 「そう。なかなかいい立地だね。これなら、10トントラックも難なく入りそうだし。あとは、インフラ維持にかかる経費なんだけど……」  その台詞を聞いて、新司はすぐに察した。工場建設の見返りとして自治体に要求するつもりなのだろう。具体的に言えば、水道料金の減額や固定資産税の減額、あるいは工場建設費の一部負担など。  新司には当然そんな決定を下す権限はないので、 「具体的な案をお示しいただきますと、課のほうで検討させていただきたいと思います」と言っておいた。  企画部長が、専務のほうを見ると何度かうなずき合って、 「近いうちに、提出させていただきます」と言った。
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