〇〇差別

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「申し訳ございません。それは現時点では公表できないことになってます」  明美の父は、少し驚いたような顔をしたが、 「ああ、そりゃそうだね。もっともだ。もし競合相手にでも知られたら、大変だからね」と納得した様子だった。「でも、市内のどこらへんに工場を建設する予定なのかくらいは教えてよ。それくらいは、いいだろう?」 「ええ。新港の隣です」 「へえ。あそこ、埋め立ててずっと塩漬けになってたけど、とうとう入る企業が来るのか。そりゃすごい。ということは、かなり大きな名の知れたところなんだろうね」 「はい。おっしゃる通りです」  明美が手を拍手するように叩きながら、 「すごいじゃない。正式に決まったら、教えてよね」と言った。  明美の母は専業主婦で、父は市内にある医療機器販売の会社で営業職として働いている。明美は一人っ子できょうだいはいないため、来年の6月以降は義父母となるふたりは、新司を実の息子のようにかわいがってくれる。
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