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「ええ……。それは、そうですね」と調子を合わせるように答えた。
「なんせうちも、娘を嫁に行かせるなんてことは初めてだから、相手方のご実家とどのように接していいか、まだよくわからないんだ。遠いから、無理にとは言えないけれど」
「はい。式の前にもう一度くらい、そういう機会があっていいですね。両親に伝えておきます」
うんうん、と明美の父はうなずいた。
「そういえば、新司君はゴルフはしないの?」
「それが、役所に勤務し始めたころに何度か打ちっぱなしで挑戦はしてみたことはあるんですが、ボールがぜんぜんまっすぐ飛ばないんですよ。右に飛んだり左に飛んだり、たまにまっすぐ飛んだかと思うと、50ヤードくらいから急にカーブしたりで」
「はははっ。でもまあ、うまくボールに当たるようになったら、とりあえず初心者は脱したと言ってもいいよ。最初は空振りばかりだからね。もう少し練習してみれば、上達するかもしれないよ」
明美がお盆の上に乗せたお銚子を運んできた。そして新司に、
「そうよ。一度、お父さんと行ってみたらどう? 道具は一通り持ってるんでしょ?」と言った。
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