〇〇差別

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 コールが耳の中で響く。外の景色は一定のリズムで街頭の横を通り過ぎて、まるで白い光が窓の外で点滅しているようだった。 「もしもし」およそ1か月ぶりに聞く母の声だった。 「あ、母さん。俺だよ、新司」 「うん。どう、元気にしてる? ちゃんとごはん食べてるの?」 「はははっ、何も問題ないよ」 「で、何か用? あなたか電話してくるなんて、めずらしいじゃない」  新司は右耳に当てていたスマホ電話を左耳のほうに持ち替えた。代行運転手は、こちらにまったく意識を向けていないように無表情で運転を続けている。 「今日、佐藤さんとこにお邪魔してて……、そう明美のところ。で、明美の親父さんが、もしよければ来月の連休にでも一度こちらにおいでになってください、って言っててさ」 「そう。……そうね。よく考えてみればまだ二度しかご挨拶してしてないものねえ。来月に行けるかどうかはわからないけど、お父さんと相談してみましょうね」 「親父は?」 「今、お風呂入ってるのよ」
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