〇〇差別

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 いったい、○○差別って何なんだ。後輩の正樹も、昨日そんなことを言っていた。まさか、明美と正樹が共謀して俺をおちょくっているんだろうか。いや、それは有り得ない。ふたりは互いに連絡先は知らないはずだし、いたずらにしてもこれはあまりに度が過ぎている。 「○○差別って、いったいなんだ?」そうメッセージを送ると、すぐに返事が来た。 「○○差別は、○○差別に決まってるじゃない。人として、ぜったいやっちゃいけないことでしょ。小学生でも知ってるわよ。へんな自己弁護しないで」 「本当にわからないんだ。○○差別って何か、教えてくれ」 「だから、○○差別は○○差別でしょ。そんなこともわからないの?」  わからない、としか答えようがない。いったい俺は何をやらかしたというのだろう。ほかの全ての人は知っているのに、俺だけが知らずにこの歳まですごしてきてしまった○○差別というのが世の中にあって、それが今たまたま、目の前に現れたというのだろうか。  それにしても、あまりに理不尽すぎる。○○差別は○○差別だとしか言われないなら、今後の言動に注意の払いようもないではないか。
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