〇〇差別

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「そりゃ、それなりに遊びに行きはしたけど、海にはあんまりいい思い出がないなあ。夏休みのど真ん中だとめちゃくちゃ海水浴客で混んでて、泳ぐなんてできたもんじゃないから。まだプールに行ったほうがマシだったかも」 「僕たちはけっこう、カマキリとかバッタとか捕りに行ったりしてましたけど、先輩の実家の近所にはそういう虫とかいるもんですかね?」 「うーん。ダンゴムシとかはしょっちゅう見たけど、バッタとかカマキリはそんなにたくさんはいなかったかもしない。ちょっと遠出したら、いたけど」  正樹はジョッキに半分くらい残ったビールを一気に飲み干すと、それをテーブルの上に叩きつけるように置いて、「ガンッ」という大きな音を立てた。テーブルの振動が強く伝わり、醤油が入った取り皿が小さな波紋を表面に作った。  さすがに新司は驚いて、肩をすくめた。いったい、何だ。 「すみません、先輩。さっきから先輩の話聞いてると……、いや僕は別にかまわないんですけど、○○差別ととられかねませんよ」  正樹が新司を睨みながら言った。 「え?」
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