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「相変わらず、バカ」
「なによ、全く人の気も知らないくせに」
「知ってるよ。俺のことが好きで独占したいんだろ?」
「独占って」
「独占させてやるよ。ほら、お前の好きにしていい」
繋いでいた手を離して、壮士は両手を広げてみせた。
小さな子供が珍しそうに壮士を見て、横を通りすぎていった。
「バカみたい。迷惑だから、歩いて」
壮士のシャツを引っ張って端につれていく。
「今日は俺に命令していいぞ。今日はお前専用ロボットになる」
「へんなの」
「命令してみろよ」
「ん~~、変顔してみて」
すぐにへんな顔をしてみせる壮士。
「あははっ、なにそれ。そんな顔出きるんだ~スマホでとっていい?」
壮士の変顔を撮影して、
「ロボットみたいに歩いて」
ガシャンガシャンと言いながら、腕も足もカクカク動かす壮士。
「恥ずかしくないの?全く」
顔までカクカク動かして私を見る。
「腕かして」
壮士の腕を掴んで、壮士の肩へコツンと頭をつけた。
「ロボットさん、私をどのくらい好き?」
「アナタヨリタクサンデス」
ロボットの口調のつもりか抑揚のない平坦な話し方。
「そっか、ありがとう。もういいよ、壮士。元の壮士に戻って」
「なんだ、もういいのか?」
「うん、ロボットより生身の壮士がいいから」
「ふーん。俺さ今幸せだわ」
「幸せ?」
「舞とデート出来て幸せ。もう、思い残すことがないくらい」
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