167人が本棚に入れています
本棚に追加
「違った。まだあるわ、したいこと」
壮士が私のことをじっと見つめる。
「山ほどある。舞としたいこと……」
なぜか顔を近づけてくる壮士。
「やめてよね、こ、こんなところで」
「冗談だよ」
首を伸ばした壮士がわたしの耳元に顔を寄せて囁いた。
「舞との記念すべき初めてのキスは、他人には、みせたくない。2人だけのものだから」
はずっ。
なんてことをいいだすのやら。
確かに初めてのキスは、他人に見られたくない。
静かなところ、そうだ。
海とか見ながら、砂浜で。
いや、誰かにみられそう。
じゃあ、私の部屋で?
ありきたりすぎて夢がない。
あーーあ、どこでするのか見当もつかない。
っていうか、いつするんだろ。
まだ付き合い始めたばかりだ。
……まだまだだな。
私はそう考えてひとり、頷いていた。
最初のコメントを投稿しよう!