夏休みのアオハル

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「違った。まだあるわ、したいこと」 壮士が私のことをじっと見つめる。 「山ほどある。舞としたいこと……」 なぜか顔を近づけてくる壮士。 「やめてよね、こ、こんなところで」 「冗談だよ」 首を伸ばした壮士がわたしの耳元に顔を寄せて囁いた。 「舞との記念すべき初めてのキスは、他人には、みせたくない。2人だけのものだから」 はずっ。 なんてことをいいだすのやら。 確かに初めてのキスは、他人に見られたくない。 静かなところ、そうだ。 海とか見ながら、砂浜で。 いや、誰かにみられそう。 じゃあ、私の部屋で? ありきたりすぎて夢がない。 あーーあ、どこでするのか見当もつかない。 っていうか、いつするんだろ。 まだ付き合い始めたばかりだ。 ……まだまだだな。 私はそう考えてひとり、頷いていた。
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