桐谷智之(学級委員)

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桐谷智之(学級委員)

【第一章の裏側。実はこんな事があったんだよ、って言う裏設定。残念ですが桐谷くんは今後本編で出てくる予定はないです。】  昨日の晩飯が悪かったのか、それとも腹が痛いのに冷たいジュースを飲んだからか。  二時間目の国語の時間に我慢が出来ずにトイレに駆け込んで、休み時間いっぱい使って篭ったにも関わらず結局治まらずに保健室に向かった。  三時間目の授業を保健室で過ごした俺は、今日ほど自分の馬鹿さを呪ったことは無い。  三時間目が終わったと同時に保健室を追い出され、さっさと帰れと言う保健医の言葉に従い教室に向かった。・・・んだが。  廊下を歩いていたら目の前の階段の踊り場を曲がる、俺の学級委員の片割れ、眞島優也を見つけた。  上の階に行くというのはもしかしたら飲み物を買うのかも、と思いダラダラと話している悪友に聞けば数学教師に頼まれ事をしたと言う。  全く、あんなか弱い眞島に何をさせるんだ、と慌てて追いかけた。追いかけて、間に合わなかったと知ったのは階段を登りきった先で眞島が三年の神前先輩と話していたから。  有名だった。あまり人と話さない眞島は知らなかっただろうけど、一年の俺らの教室に探りを入れてくるほど神前先輩は眞島を気にしていた。  俺だって入学当時から眞島が気になっていた。辛そうに笑うその顔を、満面の笑みにしたかった。俺が眞島を辛い何かから救いたかった。  その後、二人を見ていたくなくてそうそうに階段を降りた事を俺はまた後悔する。  週明けの月曜日、揃って登校した眞島と神前先輩はギャラリーの多い教室で存分にイチャコラし、昼休みに迎えに来た神前先輩を見て照れた眞島を見て、俺の何度目かの初恋が終わった事を知った。  夏休みまでの一週間の間に眞島は随分と変わった。笑うようになったし思いを声に出すようになった。  俺が眞島をそうできたのなら、俺的には万々歳なのだけど、多分俺じゃあ無理だっただろう。なにせ終わった何度目かの初恋を悪友に慰められて、カラオケで失恋ソングを歌い尽くした俺は一学期の終業式の日に会った眞島のお兄様に、何度目かの初恋をしたからだ。  眞島には申し訳ないが、真島への想いは淡い初恋として胸に留めておこうと思う。  桐谷智之十六歳、高校一年生。年上の男性に恋焦がれ悶々とする想いを右手と共に発散してます。  眞島のお兄様、ぜひ僕とひと夏のあばんちゅうるを。お願いします。 了
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