◇閉じ込められる?!◇

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……… 長椅子に 黒い大きな塊がジッとして動かない …課長さん 具合悪いのに 何処へ行こうとしていたのかな? どうして具合悪くなったのかな? エレベーターに乗る前から? それともエレベーターに 少し閉じ込められたから、 具合悪くなったのかな? 私が近づくと 課長さんが顔を上げた 私はキャップを開け 「どうぞ。」と言いペットボトルを渡した 弱々しい声で 「ありがとう」と言って ミネラルウォーターをゴクリと飲んだ 課長さんの隣に座ると 「きみには悪いことをしたな。 先に帰っても良いよ。 少ししたら僕も行くから。」 えっ?  まだ顔色も良くなっていないのに 課長さんは行こうとしてるの? 「具合悪い人をほっとけません。」 「大丈夫だよ。 きみのおかげで気分も良くなって来た。」 「まだ顔色悪いですよ? この後、ご予定あるみたいですけど 断った方が良いですよ? 私が代わりに連絡しましょうか?」 クスッと課長さんは笑って 「きみは… 上司でもない僕にこんなに 親切にしてどういうつもりなんだ?」 うっ… 「…下心があると思ってるんですか? ただ、単に具合悪い人を ほっとけないだけです。」 「そうか…きみの言う通り 今日の予定は断るよ。」 そう言って、スマホをスーツの ポケットから取り出し 電話をした… ホッ…良かった。 もしこの後、お酒の席だったら 更に大変になっていたかもしれない。 電話を終えた 課長さんが私に聞いて来た 「きみ?名前は? 僕は…」 ここで初めて 私たちは名乗ることになる… ………
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