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ルルウは助けた男が僕だと気づくと、恥ずかしそうにうつむいた。突然の再開に、僕も言葉を見つけられず、しばらく沈黙の時間が流れた。しかし勇気を出して、「ちょっと散歩しようよ」と言うと、ルルウはこくりと頷いた。
ルルウの恰好は星族の伝統的な衣装だったので、僕たちは人通りの少ない道を選んで歩いた。薄暗い道もあったので、自然に手をつないで進み、やがて誰も来ない空地へたどり着いた。座るのにちょうどいい石をみつけて腰かけると、ルルウは僕をまっすぐみつめてかすかなえくぼを浮かべてほほ笑んだ。
「さっきは助けてくれてありがとう」
「いいんだ。でも、あんなところで女の子一人でいたら危ないよ。ただでさえ、みんな気が立っているんだ」僕は早口で言った。
「そうよね、ごめんなさい。でも私、三年前にはぐれた男の子を見つけられないかなと思って、歩き回っていたの」
僕はそこではじめてルルウの視線を真正面から受け止めた。きれいな茶色で、大きな瞳だ。もはや言葉はいらなかった。
僕たちはそっと唇を重ねた。
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