それでも星の光は輝き

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 7日がたち、星族が去る日が来た。あれ以来、僕は一度も空地に行かなかった。何度も何度も考えたが、しかし、ルルウはしょせん星族の子なのだ。はじめから、分かりあうなんて無理な話だった。  ルルウと会っていたことを、父は察していたようで、出かけることがなくなった僕に満足そうに声をかけてきた。 「星族と俺たちは違う種族なんだ。距離を置いて、お互いに利用しあうしかないんだ」  僕はあきらめたように、その言葉に頷いた。  そのときだった。  大きな衝撃とともに、僕の体が一瞬中に浮いた。視界に入るものの、すべてが揺れている。何が起きているのか分からないまま、僕の体は揺さぶられていた。轟音が鳴り響く。どれくらい経った分からないがそれは次第に小さくなり、やがて止まった。あとから知ったことだが、これは地震という現象らしく、この地域ではほとんど起きたことがないものだった。  家の外に出てみると、シェルターの天井に備え付けられているはずの太陽照明の一部が落ちてきていたり、建物が倒れたりしていた。照明が消えている時間のはずなのに、かすかな光を感じて僕は空を見上げた。  シェルターの天井が割れていて、その亀裂から、光は差し込んでいた。  無数の小さな点が、輝きながら光を放っている。 「星の光だ。中に入れ」  父が大声で叫んでいたが、僕はその光景にみとれていた。これが星の光。ルルウが見ている景色。  気が付けば、僕は走っていた。  そして、例の空地にルルウはいた。
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