プロローグ

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一学期の中間テストでは、クラスの真ん中ちょっと上くらいまで上げて…期末では多分上から数えるくらいの順位まで上げられているだろうと思う。 ただ…スタートが遅かった分のしわ寄せは、理科に来ている。 医学部は、大体理科二つだ。数学は嫌いじゃないから、全範囲でも頑張れるんだけどな。 兄貴につられて新聞を読む子供だったからか、国語で苦労したことはあまりない。必要なら最後に古文とか漢文とか詰め込む予定。 社会は…入院中に、兄貴の友達の健太さんが持ち込んでくれた日本史漫画が結構面白くて、四周読んでセリフまで暗記した。 家に帰って教科書を見たら、今までより断然楽しい教科になっていた。 今では、国語に次いで好きな教科だ。 学校の担任と、予備校の担当者と話をして、俺は文系科目の方が相性がよさそうだということで、とにかく理科を早い段階で何とかする方向で作戦を立てている。 一般的な国立なら、一教科くらい失敗してもカバーできるらしいけど、医学部を目指すなら全教科まんべんなくある程度取らないと厳しいらしい。 そして、今は5月末。 俺は春先の模試の結果と学校の中間テストの結果を用意して、久々に帰ってくる兄貴を待ち構えていた。 あ、兄貴は秋から九州に転勤するとかで、なんと若ちゃんが正式に兄貴の婚約者になった。 うちは父親が長期出張でほとんど家にいないから、兄貴がうちの大黒柱みたいになってたんだけど。ちょっと寂しいな。 今度、若ちゃん一家と食事会をして、結納? とかするんだって。 よくわかんないけど、『制服着ておとなしく座ってろ』と言われてる。 若ちゃんのお父さんもお母さんも、顔見知りだ。 俺は、小学校からサッカーを始めたから、兄貴みたいに若ちゃん一家と一緒に過ごす時間は長くなかったけど、それでもおばさんは顔を合わせたら声をかけてくれる。
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