エピローグ

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エピローグ

引っ越しの二日後、俺は一応用意してもらったスーツに身を包み、格好に似合わないスポーツバッグを手に入学式に向かった。 結構親が来ていて驚くけど、うちの両親はこんなことは絶対しないタイプ。 ありきたりの式次第を終えて、1年のクラスに案内されて… 何人かの男子と自己紹介しあったら、資料をもらって解散だ。なるべく女子の友人を作るなと北見から何度も言われたけど、言われなくてもそんなつもりはない。視線は感じるが、完全にシャットアウトして男子集団に埋もれて過ごした。 資料は、家に帰ってからゆっくり見ればいい。 その場で封筒を覗いている同級生の集団から抜け出して…向かうのは約束したグランド。 このあいだ結花がナンパされた方向を見ると、サッカー部が集まってる。 強豪ではない。 当たり前だ。 必死で勉強して医学部に入学し、国家試験合格を目指す学生の集団が、サッカーまでプロ並み…というわけにはいかないだろう。 でも、サッカーが好きなメンバーが集まった、サッカー部。 ちゃんと、医学部サッカー部のリーグみたいなのもあって、大会だってある。 在学中にもう一度「目指せ優勝!」みたいなことができるかな。 俺は、子供のころからサッカーが大好きだけど、なぜか一度もプロ選手になりたいと思ったことがないんだ。気心知れた仲間と、同じ目標に向かって頑張る過程が楽しくてしょうがないってだけで。 だから、大会のレベルとかチームのレベルとか、本当にどうでもいい。 仲間がいて、場所があって…試合相手がいるなら、十分だ。
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