エピローグ

4/5
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/243ページ
メーカーとサイズは自分で決めて、色はどれがいいか結花に決めてもらったんだ。身の回りに少しでも結花が関わった物を置きたいとか、ちょっと自分でもやばい自覚はある。 …おお、貴重品ロッカーまである。 100円返還式だったので、財布と携帯とキーホルダーを入れて… 左膝にはしっかりサポーター。 何枚か洗い替えも持ってるんだけど、この間の引っ越しの時に全部の裏に結花が名前を書いていった。 最初は、俺の名前をアルファベットで書いて『はい』って渡してくれたんだ。 見れば自分のだってわかるけど、もし部室に置き忘れたりしたらほかの人はわからないから。確かに記名はしておくべきだ。 でも俺は、ちょっといたずら心を起こして…勉強机の引き出しを開けて結花を誘った。 いつまでも見えるところに貼ってるのも恥ずかしいから、大会のしばらく後、引き出しの内側の邪魔にならないところに移したんだけど。 「これ…」 結花は、薄汚れたテーピングの切れ端を見て驚いてる。 インハイ予選決勝で、結花が一周余計に巻いたテーピング。 大塚先生が、捨てずに俺の足首に巻いてくれたのを、俺は帰宅してから大事に外したんだ。さすがに汚れてたから、字の書いてある部分だけ切り取って、机の前にしばらく貼ってた。 Best of luck Y 「…傍で俺のこと監視できなくなるから。名前の隣に全部書いといてよ、これ。 俺が、無茶しそうになったら止めてくれるように、怨念込めといて」 ふざけたことを言ってるけど、本心は違う。 俺は二度と、自分の身体を壊すようなことはしない。 結花が傍にいなくて寂しいから…結花の手の入ったものを身に着けていたいっていう、女々しい希望というか。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!