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プロローグ
俺の名前は澤田凌太郎。いろいろあったけれど、この春無事に高3になりました。
一年のときからずっと、サッカー部のキャプテンだったんだけど、高2の冬に大きな怪我をしたので、手術を経て半年のリハビリ中。そして同時に医学部進学に目標を据えて、猛勉強中。
4月にスポーツ推薦の2-Hから、特進クラスの3-Aに編入した。
GHからAという移籍は、俺が史上初らしい。
…そりゃそうだよな。
スポーツ推薦で入学した生徒が各学年GH組だから、仮に怪我や進路変更があったとしても、普通は一般クラスのBからFへの移籍がいいところだ。こうした普通の移籍なら、診断書や保護者の同意書で話は済む。
でもうちは、兄貴が母親と一緒に手続きに出向いてくれて、事情説明の上Aクラスへの移籍を申請して、特例として合格要件を設定してもらうところまでやってくれた。
二年の3学期学年末テスト一発勝負で、合格ラインである学年40位以内をギリギリ取れたので、俺は3-Aに進級したというわけ。
誇ることではないと思っている。
そもそも、高校を選択する時点でちゃんと考えていたのか? という話。
高二の春にも、当時の担任からそんな話をされていたのに、俺はちゃんと聞かずに自分の中でスルーした。
もっと前の段階から、俺が将来のことをきちんと考えていたら、こんなバタバタと周りを巻き込まなくてもよかったんじゃないかと反省したりもしている。
テストの時点で俺は、A組でケツから三番目くらいの成績なようだ。
でも、もともと勉強が嫌いだったわけじゃない俺は、二月と三月で中高の勉強を全部やり直した。今は、ネットでそういうことが簡単にできる。もちろん、秀才の兄貴にも…いじられながらも全面的に助けてもらった。
歩けるようになってからは、運よく自宅最寄り駅に存在していた医学部専門の予備校に通ってる。
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