神様ReLIFE

4/8
前へ
/8ページ
次へ
―――神様からの呼び出し、かぁ・・・。 ―――随分と神様と会っていなかったな。 ―――僕に何の用だろう? ―――本当にアランの言った通り、怒られるようなことだったりして・・・。 神様のもとへと歩いていると、色々なことを考えてしまう。 自分が人間の身でありながら、天使として生活をしていること。 何かあって天使という役割を奪われた時、自分はどうしたらいいのだろうか。 「お久しぶりです、神様」 「あぁ。 久しぶりじゃの、エイト」 ―――ん・・・? 神様が前に会った時よりも、少し老けているような気がした。 天使が年を取らないのだから、神様も年を取らない。 そう思っていたのだが、よくよく考えれば神様は老齢に見える。  最初からこうだったとは思えなかった。 「僕に何の用ですか?」 「エイト。 君がここへ来てから、今日で丁度10年じゃ」 「もうそんなに経つんですね」 「そこで、じゃ。 出会った時にワシが言った言葉、憶えておるか?」 「神様が言った言葉・・・?」 考えてみたが、心当たりがなかった。  「そう。 『君が天使となって働く代わりに、一度だけ地上へ送ってやろう』という言葉じゃ」 「ッ・・・! 忘れて、いました・・・」 「ほっほ。 まぁ、10年も経てば忘れていてもおかしくはない。 地上へ送る時、それが今だと思ってね」 「今、ですか?」 「エイトは今、地上で会いたいと思う人はおらぬか?」 頭に思い浮かぶのは、病院で寝ている少女だった。 確かに家族や友達にも会いたいとは思うが、真っ先に浮かんだのは病院の少女。 だけど名前も知らない相手のため、何と説明したらいいのか分からない。 「無理して言わなくてもいいぞ。 ワシが今から、その人のもとへ君を送ってやろう」 「・・・本当、ですか? あの、それって一人じゃなくても構いませんか?」 頭に最初に浮かんだのは入院している少女だが、やはり家族にも会いたいもの。 ただ、地上に降りるのには条件があるらしい。 「もちろん。 ただし、制限時間がある。 三時間じゃ。 君が地上にいられるのは、たったの三時間だけ」 「十分です。 なら最初に送ってもらうのは、家族のもとでもいいですか?」 「・・・分かった。 すぐに準備しよう」 そう言うと、神様は何か作業に取りかかり始めた。 どうしたらいいのか分からないが、ここにいても仕方がないため一度仕事へ戻ることにした。 ―――本当に、僕は地上へ戻れるんだ・・・。 ―――もしかして、それって魔法で? ―――僕が今まで疑っていた、神様が願いを叶える力っていうヤツ? ―――本当に、あったんだな・・・。 それから約一日が過ぎ、神様に再度呼ばれることになった。 天使から人間の姿へ戻され、服装も人間界に合うものを用意してくれた。 「準備は整った。 エイト、こちらへ来なさい。 ここへ座って」 言われるがままに座る。 そこで気になっていたことを尋ねてみた。 「神様って、願いを叶える力・・・。 いえ、本当に魔法が使えるんですね」 「・・・だから、何度も言っておるじゃろう。 君が、特別だからじゃ」 その声を最後に、次第に視界が白くぼやけてきた。 身体がふわふわと浮く中、ぼんやりと考える。 ―――・・・あれ、そう言えば・・・。 ―――僕、天国でおじいちゃんとおばあちゃんに会っていないや。 ―――聞かれていないもんなぁ、天使に。 ―――・・・いや、僕が答えずに『神様って本当にいるんですか?』って聞いたのが悪いか。 ―――でもいいや。 ―――天使でいる生活も、悪くないから。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加