神様ReLIFE

7/8
前へ
/8ページ
次へ
おそらく二時間程の間、エイトは病院を求め走り回っていた。 「僕、大丈夫!?」 たくさん走り回って呼吸が荒れているせいか、受け付けの女性が物凄く心配してくれた。 元々エイトは身体が弱く、運動なんてまともにしていない。  神様のおかげで身体は強くなったが、あくまでそれは天界でのこと。 地上へ降りれば、人並み程度の持久力しかない。 肩で呼吸をしながら、病院の時計を見る。 ―――残り、10分・・・。 ―――ここが駄目なら、もう間に合わない。 「あ、あの! 6歳で、エイミっていう女の子、ここにいます、か・・・?」 途切れ途切れになりながらも尋ねかける。 受け付けの女性は不審に見ていたが、切羽詰まった様子から何かを察してくれたようだった。 「えぇ、いますよ」 「ッ、それはどこの病室ですか!? 今すぐに教えてください!」 奇跡が舞い降りたのかと思った。 受け付けの女性から病室の番号を聞くと、最後の力を振り絞りその場所へと向かう。 別に、少女に会いに行かなくてはならないという決まりはない。  だけど会わなければいけない気がしたのだ。 教えられた病室まで辿り着くと、大きく一度深呼吸をする。 ノックをして、ドアを開けた。 そして目の前に飛び込んできたのは、ベッドの上で静かに読書をしている彼女の姿。  泉からから見た通りの光景だった。 「え・・・。 誰・・・?」 ずっと見ていた彼女が、目の前にいる現実。 その嬉しさにもろ手を挙げて喜びたい程だったのだが、それをグッと我慢し頭を下げた。 「初めまして! 僕、エイトって言います!」 「エイト・・・?」 「はい! ちなみに、歳は16です!」 「・・・あの、私に何か用ですか?」 そう言われると、エイトは彼女のもとへと近寄った。 そして彼女の手に自分の手を添える。 「おめでとうございます。 君は、神様に選ばれたんですよ! あ、いや、女の子だから、女神様っていうのが正解かな?」 時間も残り少ししかないが、伝えたかったことを伝えることができた。 「・・・? ごめんなさい。 私、神様なんて信じていないので」 「それでいいんです。 エイミは、それで」 「え、どうして、私の名前・・・」 時計を見ると、残り時間一分だった。 流石に、自分が消えるところを見られるのはマズい。 「ごめんなさい、僕はもう行かないと」 「え、待って」 「またどこかで会えるといいですね。 エイミ」 そう言って笑いかけると、早急に病室から立ち去った。 ドアを閉めた瞬間、ふっと身体が軽くなる。 天界へ戻る時間だと分かると、エイトは静かに目を閉じた。 ―――よかった、会えて。 ―――・・・よかった、間に合って。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加