30人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
昨日の帰りに
透の家まで
送っていき、例の写真を
見せて貰う事になりました。
透の家は
父親と二人暮らしで
夜は一人で居る事が
殆どだと聞き
心配になりました。
「なぁ龍也、
校長室に行くだろ?」
そうです。
「えぇ。私の写真も
持って行かなくては
いけないですけど……」
「それならさ、
この写真も
一緒に持って行けよ」と
例の写真を私に
渡したのです。
「え?」
「これが、岩滝が
撮った物とは、
最初は信じて
貰えないかも
知れないけど
これはほんの
一部に過ぎないから
岩滝の机を
調べてみろって
言えば、すぐにバレるぜ」
昨日の帰りの会話は
こんな感じでした。
今日はやけに
時間が経つのが
早い様な気がしますが
気のせいですね。
と言いつつ
いつの間にか
昼休みになっていました。
そして、昨日と
同じように校長室の
ドアをノックしました。
「九重です」
「入りたまえ」
何回来ても緊張しますね。
「失礼します」
「昨日言っていた
手紙と写真は
持ってきたのかね?
ポケットから
例の手紙と写真を
取り出して、
校長先生の前に出しました。
「はい、
それから
別の写真も
持って来ました」
「別の写真?」
透が岩滝の机から
失敬した写真も出しました。
「岩滝先生の机から
失敬したものなのですが
女子生徒達の
着替えを
隠し撮りした物です」
それを見た
校長先生は
まさに、
"開いた口が塞がらない"
状態で目を見開いて居ました。
「九重先生」
呼ばれたので、
返事を返します。
「はい?」
「放送で
岩滝先生を
此処に呼んでくれないか」
「……分かりました」
昨日の今日で
この役目は
かなり酷ですが
校長命令では
仕方ありませんね。
放送室に行く為に
廊下に出ると
透が昨日と
同じ様に
壁によっ掛かって居ました。
「話、終わったのか?」
出てくれば
そう思いますよね。
「まだです」
「じゃぁ何で?」
透が居るのが
バレると色々マズいので
此処から離れます。
「歩きながら話します」
放送室に
行く為歩きながら
透に話しました。
「校長先生に
岩滝……先生を
放送で呼び出して
欲しいと頼まれたんです」
「そぉなのか。
なら、放送室行くより
直接言った方が
早くないか?」
確かに、
体育館の方が近いですね。
「まぁ、九重先生が
会いたく無いってなら
放送でも良いけどさ」
「……」
黙ってしまった私。
それは、透が
苗字で呼んだからです。
何時も、二人で
話して居る時は
名前で呼んで
下さるのに……
授業中とは言え
誰かに聞かれたら
大変なのは
分かって居るのですが
苗字で呼ばれた事が
酷く悲しいと
思ってしまいました。
長い間黙ったままの
私に透が耳元で
小さく囁いたのです。
「"龍也"」
「あ、はい」
今の私の顔は
真っ赤だと思います//////
「どぉする?
あいつ、今なら
体育館に居るぜ」
ビクッ!!
「校長の言う様に
放送にするか?
どっちも、
そんなに距離
無いからな龍也が決めろ」
「私は……」
昨日の事や
校長室に
置いてきた
写真や手紙等
会いたく無い
理由は
沢山あったはず
でしたのに
私が出した
答えは……
「体育館に
行きましょう」でした。
内心自分でも驚きです。
「本当に
体育館で良いんだな?」
「直接呼びに
行くと言う
選択肢を私に
与えたのは貴方ですよ?」
全く、しょうがない人です。
「確かにそぉだな
んじゃぁ、行くか!!」
「はい」
校長室は四階。
体育館は二階にある為
二人で階段をゆっくり
降りて行きました。
因みに、放送室は
三階にあります。
体育館に着くと
透は中には入らず、
"此処で待ってる"と
言いました。
そぉ言えば
今やってるのは
透のクラスでしたね。
丁度、入口に来た
生徒を呼び止めて
岩滝を呼んで
貰いました。
「君、岩滝先生を
呼んでくれますか?」
「分かりました」
その男子生徒は
嫌な顔一つせず
岩滝の居る方へ
走って行き私が
呼んでると言う事を
伝えてくれました。
そして、
連れてきてくれたのです。
「九重先生ぇ~
岩滝先生を
連れてきました」
「有難うございます」
呼んでくれた彼に
お礼を言いました。
岩滝の顔が少し
引き攣って居る様に
見えたのは
多分、見間違えでは
無いと思います。
あの写真の事を知られて
しまったからには
顔も引き攣るでしょうね。
「私と一緒に
来て頂きたい
場所があるのですが
今よろしいでしょうか?」
上擦らないように
必死ですね。
「一体何処に?」
大きなな声では
言えないので
私は手のひらに
"校長室"へと書きました。
それを見て
更に顔を引き攣らせて
「分かりました」
と言って先程の生徒に
「皆に自習だと
言っておいてくれ」
と頼んだのです。
「俺は用事が出来たから
頼んだぞ?」
極力、平静を装いながら
先程の彼に頼みました。
「はい」
「じゃぁ、宜しくな。
九重先生、
行きましょう」
廊下に出た岩滝は
其処に居る透を見て
眉間に皺を
寄せましたが
何も言いませんでした。
-遠野視点-
「皆、岩滝が
用事が出来たから
自習だってさ」
何なのかは知らないが
あいつがいなくなり、
体育館の中は
騒がしくなった。
「マジか?」
「おう」
オレの名前は
遠野稔
(とおのみのる)
九重先生に
岩滝を←いつも呼び捨て
呼んで来て欲しいと
言われた時は驚いた。
岩滝に用が
あったらしい。
岩滝の隣に居た
オレは九重先生が
手のひらに書いた
文字を見てしまった。
"校長室へ"
確かに、九重先生は
手のひらにそぉ書いた。
チラッと、廊下を
見ると新庄が居た。
岩滝と九重先生が
体育館から出て行った後
新庄が入ってきた。
あいつが岩滝の
授業に出ないのは
いつもの事だし、
逆に出たのは
二、三回だ。
それより、岩滝の奴
何をやらかしたんだ?
校長室に呼ばれるって……
何したんだ?
「よぉ、相変わらず
体育はサボるな」
こいつがサボるのは
岩滝の体育だけだが。
「めんどくさいからな
それに、俺は
あいつが嫌いなんだよ」
「なぁ新庄、
あいつが校長に
呼ばれた理由(わけ)
知ってるか?」
「あぁ、知ってるぜ」
「マジかよ」
理由(わけ)は何なんだ?」
オレは結構噂話が好き
だったりする。
理由(わけ)を
知っていると言う
新庄に詰め寄った。
「此処じゃ
話難いから帰りに話す」
言いにくいことって
マジであいつ、何したんだ?
「分かった
じゃぁ決まりな」
「ドン引きするぜ」
呆れ返った顔の
新庄をみて
そんなに酷いのか? と思った。
「マジか……」
「冗談抜きでマジだ」
岩滝が居なくなったことで
皆、好き勝手に
色々している。
バスケをしてる奴。
俺達みたいに
話をしている奴。
マットの上で寝てる奴。
それぞれだ。
-校長室視点-
コンコン
「岩滝先生を
連れてきました」
「入りたまえ」
「「失礼します」」
「放送が
聞こえなかったが
直接呼びに
行ったのかね?」
「はい
その方が
早いと思いましたので」
本当は透に
言われたからなのですが
それは透が授業を
サボってたのが
バレてしまうので
言わないで
おくことにしました。
「俺は何故
呼ばれたのでしょうか?」
解っていても
聞き返してしまうのは
人間の性でしょうね。
「君に聞きたい事が
色々とあってね」
「何でしょうか?」
「此処にある写真は
九重先生のも
含めて、君が
やったと聞いてている」
隣に居る私の顔を見て
岩滝の顔は青ざめた
顔をしていました。
私は少し
意地悪な笑みを
浮かべました。
「事実かね?」
正直に
答えるんでしょうか?
それとも
はぐらかすのでしょか?
黙ったままの
岩滝を校長先生が
睨みつける様に
見ています。
その間私も
黙ったままです。
話そうとしない岩滝。
痺れを切らしのか
校長先生は
椅子から立ち上がり
私達の方へ
歩いて来ました。
「沈黙は
肯定と取るが
良いのかね?」
冷や汗を
流しながら、
それでも、
黙ったままの岩滝。
校長先生は
岩滝が答えるのを
待っていて
何故か隣に居る
私まで冷や汗が
出てきそうでした。
それだけ、校長先生が
偉大と言う
事なのでしょか?(苦笑)
流石に校長先生の
威圧感に
耐えられなく
なったのでしょう。
やや震える声で
自分がやったと
認めたのです。
「お、俺がやりました」
自白した岩滝。
しかし、今度は
校長先生が
黙ってしまいました。
そして、椅子に座り
考えて居る様子です。
そして、徐に
口を開いた。
「何故、こんなことを
したのかね?
女生徒達のもだが
それは置いといて、
九重先生は
幾ら美人でも男性だ」
私が美人!?
ありえません!!
わ、私が
美人なんて……
第一、その言葉は
女性に使うのであって
男の私に
使う言葉では
無いはずです……
使い方が違うのでは??
校長先生も何て事を
言い出すのでしょうか……
そんな事を
考えて居たら
隣に居た
岩滝まで校長先生に
賛同して私が
美人だとか
言い出したので
成す統べが
無くなりました↓↓
最早、溜め息しか
出てきません……
そこで、本人を
無視した会話に
少し、ムカついたので
「あの……」と
二人の声を掛けたのです。
「あの、今話すべきは
私の事では無く
彼の行為について
どう処分なさるかです」
普段怒鳴ったり
大きな声を上げない私が
怒鳴ったので
二人ともピタリと
話すのを止めました。
「そぉでしたな……
岩滝先生、これが
事実ならば、貴方を
解雇しなければならない」
「教育委員会にも
話が行けば、貴方は
教員免許を
剥奪されるでしょう」
私の話をしてた時とは
一変して、青ざめた岩滝。
「もう一度、訊くが
これは総て、
君がやったのかね?」
「は……い」
「そうか、残念だ。
君は明日から
来なくて良い
謹慎処分だ」
「すぐに解雇に
なるだろうが
正式な、解雇通知は
後日、郵送で送る」
「九重先生も
今日はご苦労様でした。
これで、安心して働けますよ」
「はい有難うございました」
私は校長先生にお礼を
言って、お辞儀をして
校長室を出ました。
最初のコメントを投稿しよう!