0人が本棚に入れています
本棚に追加
「3番線に、列車がまいります。黄色い線までお下がりください。」
耳に慣れた駅アナウンスが流れた。
少しして、駅のホームに電車が滑り込んでくる。
いつもと同じ景色。
この瞬間足元がそわっとする。
プシュー ガタン
音がしてドアが開く。
まだ朝方の今、降りる人は一人もいない。
いつもと同じ号車に乗り込んで、静かに席に座る。少しして電車が出発した。
窓の外を眺める。
毎日毎日幾度となく見てきた景色。
でも、毎日同じではない。
晴れの日。雨の日。曇りの日。
雲一つ無い青。筆を滑らせたような雲。
ペンキをぶちまけたような灰色。
今日の空は水で薄めたような青が広がり、薄く雲がかかっている。視線を下にずらすと朝日がさし、建物がキラキラと光を反射していた。
まぶしい世界に目を細め、心の中で思う。
あと、5分。
最初のコメントを投稿しよう!