千里の道も一歩から

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2つ目の駅に着いた。 ――あと、2駅。 ドアが閉まってしばらくし、電車が動き出す。ガタ と音がして、体が進行方向に傾く。 途端 ドサッ 何か少し大きくて重たいものが、落ちるような音がした。 私は電車のあの人を見ていたので、すぐそばで大きな物音がして、大分驚いてしまった。 肩が跳ね上がり、少し体が固まる。 そのとき、視線の先にいた君もビクッとして、音のしたこちらに目を向けた。 一瞬、視線が絡む。 バッ と私も音のした方を向き、何事もなかったかのように振る舞う。 音の正体は、スマホ画面に釘付けになっていた男子のリュックだった。電車の揺れでリュックが倒れてしまったらしい。その男子はあわててリュックを起こし、小声で謝っていた。 私は、スマホ画面に目を戻した。 心臓が高鳴っている。あの人の視線が脳裏に焼き付いている。 ちらりとあの人を見やる。 ドキッ  心臓が跳ね上がった。あわてて目を戻す。 あの人がまだこちらを見ていたのだ。 しばらく私は、スマホ画面を見て固まっていた。 視線に焼かれているみたいだ。 長く体を固まらせてから、姿勢を少し崩した。ついでというようにあの人をちらりと見やる。 君は、スマホ画面に目を落としていた。 内心ほっとする。 いつもこれでもかというほど見ているくせに、見られるのは慣れてないなんて。 そう思いながらまた君を見る。 え。 君がスマホをしまっている。そのまま大事そうに抱えていたリュックを肩に担ぐ。 静かに立ち上がって、こちらに歩いてきた。 私はあわててスマホ画面をつけた。てきとうにサイトを開き、読んでいるふりをする。 君が目の前を通り過ぎる。 少し視線をあげると、私のすぐそばのポールに手が伸びてきた。 少し視線をずらすと、君のいつもの制服が目に入る。 おそるおそる視線を上にあげた。 っ……………! 君が、そこにいた。
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