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「そうだが、反社会的行動を取る者は脅威でしかない。普通の人には、あの馬鹿げたアニメか漫画の如き力に対抗する手段は少ない」
普通の人と述べる所で殊更に力を込めれば、即座にテンプレートな回答が返って来る。最早脊髄反射染みた速さで。
「彼等は弱者なんです」
「暴力に訴える輩が? 随分アクティブな病人様だな」
皮肉めいた口調で、更に皮肉どころではない事実を口にすれば女は黙った。
「大方、貴女の子もあれに感染しているのだろう。だから人権をと叫ぶ」
冷ややかに女を見、言葉の刃を放つ。
「母の愛は無償かも知れない。だが変異体の多くは自身の全能性に酔いしれ、他者へ暴力を振るう事実がある」
「でもっ」
「理性的に振る舞い、驚異的な自制心でもって暴れる変異体を押し留めてくれる、ヒーローの如き変異体も知られているがな」
言葉を詰まらせた女の前で一息吸い唾棄する様に続けた。
「そいつの子孫が暴力的に成らない保証もない。君が言うのと同じ心の問題だ」
女性の顔は血の気を失い蒼白と化している。
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