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「ったく、どこで手に入れたんだか」
女が非正規に、簡単には手にできない生物の遺伝子を得ていたと分かるだけに腹立だしい。
バレなければ良いと、影でどれだけの悪事を悪事と思わずに働いて来たのか。
それとも勝てば官軍と心得ているのか。
平等の正義の為にと大義名分を謳いながら、違法な手段で力を得ている癖に、己が罪は隠した上で人権を声高に叫ぶなど被害者の振りした態度も虫酸が走る。
こんな先の先まで見通せず、その場限りの刹那的手段で他者の命を軽んじる輩など。
空を裂く音が傍らでした。
顔を向ければ、ノムへ変身を認めた女が銃を構えている。肩の腕章から一番の上司だと分かるが鍛え抜いたイメージは無い。
放たれた麻酔弾は強力な威力を誇るものだ。下手をすれば死者が出る程の。
翼を広げただけ的として大きくなった女は簡単に仕留められ、重低音を響かせて地面とランデブーを果たしていた。
「鷹派だといい加減認めて欲しいですね」
「星辰会か。あそこは政治献金も多いから無理だろうよ」
女上司の愚痴に賛同して毒吐けば堅い笑みを見せる。
「頭角の現し方が汚すぎて嫌いです」
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