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三人ともびっくりして、それよりわたしがいちばんびっくりしていた。
「マジで?」
さすがにミヤオが心配そうに言ってくる。
もうあとには退けない。
っていうか、退きたくなかった。
たぶんここでやらなかったら、このさき一生、わたしは「逆さまコーラチャレンジ」をしないだろうから。
逆さまコーラチャレンジって、結局なんなのかはよく分からないけど。
「やる」
って言って、わたしは鉄棒に向かった。
で、足をかけようとしたら、
「おい、シャツは中に入れとけよ。エロ動画になっちゃうからな」
って、追いかけてきたミヤオに言われた。
わたしはなにも言わないで、シャツを中に入れて、鉄棒にぶら下がった。
逆さまの空は、あの日見たのとおんなじ、雲ひとつない夏空だった。
なのに、今はなぜか、それがぜんぜん怖くなかった。
「ほんとに大丈夫か?」
「やるよ。おもしろいかは、わからないけど」
「いや、清水がやるってだけで、いちばんおもしれえわ」
逆さまのミヤオが笑って、逆さまのガラシと逆さまのペーにうなずく。
スマホをかまえていたペーが、録画ボタンを押して、手をあげた。
「逆さまコーラチャレンジ!」
ミヤオが大きく言って、コーラを渡してくる。
逆さまのわたしは、思いっきりコーラのキャップを開けた。
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