逆さまコーラチャレンジ

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「あー、おもしろかったなあ」  って、ミヤオが立ち上がって、鉄棒まで行って、ガラシとふたりでペーを下ろした。  ペーは、ずぶ濡れのままゾンビみたいに歩いてわたしのところまで来て、 「撮れてました?」  って、なぜか敬語で言ってきた。  それがツボに入って、わたしはかがみこんで笑ってしまった。 「いまのおもしれえわー」  って、帰ってきたミヤオが言う。 「お、マジで?」 「うん。清水がこんな笑うの、あんまないからな」  ペーがガッツポーズして、お腹をわざとらしく前後に揺らした。  なんとか自分を取り戻したわたしは、立ち上がって、 「いまのはおもしろくない」  って言った。  「うっす」  ペーが言って、ふつうに戻る。  で、ミヤオの番。  ミヤオが位置について、わたしは録画ボタンを押して手をあげた。 「逆さまコーラチャレンジ!」  ペーが言って、コーラをミヤオに渡す。  ミヤオは順調に飲んでいって、記録は12秒だった。 「おもしろくねえ! マジでおもしろくねえ!」  わたしのとなりのガラシが言って、それなのに笑った。  いつのまにか、「どれだけおもしろく飲めるか対決」になってて、たしかにミヤオの飲み方はぜんぜん面白くなかった。 「えー、逆にふつうにがんばって飲むっていう、高度なギャグだったんだけど」  ミヤオが言いながら帰ってきて、わたしを見る。 「おもしろかったよな?」  わたしは、 「説明したから、もうおもしろくない」  って、ダメ出しした。  そしたら、 「鬼かよ」  って、ミヤオが口を尖らせて、それ見てペーとガラシが笑った。  この三人、いつも楽しそうだけど、きょうも楽しそうだ。  こうやってみんなでみんなを笑わせあって、なんかそれがとても羨ましい。  だから気がついたら、 「わたしもやりたい」  って、言ってた。
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