19人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、おもしろかったなあ」
って、ミヤオが立ち上がって、鉄棒まで行って、ガラシとふたりでペーを下ろした。
ペーは、ずぶ濡れのままゾンビみたいに歩いてわたしのところまで来て、
「撮れてました?」
って、なぜか敬語で言ってきた。
それがツボに入って、わたしはかがみこんで笑ってしまった。
「いまのおもしれえわー」
って、帰ってきたミヤオが言う。
「お、マジで?」
「うん。清水がこんな笑うの、あんまないからな」
ペーがガッツポーズして、お腹をわざとらしく前後に揺らした。
なんとか自分を取り戻したわたしは、立ち上がって、
「いまのはおもしろくない」
って言った。
「うっす」
ペーが言って、ふつうに戻る。
で、ミヤオの番。
ミヤオが位置について、わたしは録画ボタンを押して手をあげた。
「逆さまコーラチャレンジ!」
ペーが言って、コーラをミヤオに渡す。
ミヤオは順調に飲んでいって、記録は12秒だった。
「おもしろくねえ! マジでおもしろくねえ!」
わたしのとなりのガラシが言って、それなのに笑った。
いつのまにか、「どれだけおもしろく飲めるか対決」になってて、たしかにミヤオの飲み方はぜんぜん面白くなかった。
「えー、逆にふつうにがんばって飲むっていう、高度なギャグだったんだけど」
ミヤオが言いながら帰ってきて、わたしを見る。
「おもしろかったよな?」
わたしは、
「説明したから、もうおもしろくない」
って、ダメ出しした。
そしたら、
「鬼かよ」
って、ミヤオが口を尖らせて、それ見てペーとガラシが笑った。
この三人、いつも楽しそうだけど、きょうも楽しそうだ。
こうやってみんなでみんなを笑わせあって、なんかそれがとても羨ましい。
だから気がついたら、
「わたしもやりたい」
って、言ってた。
最初のコメントを投稿しよう!