日本の危機に過去に行く、、、はず、、、あれ?

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日本の危機に過去に行く、、、はず、、、あれ?

 俺達は集まると『ビート』の授業の時と同じように整列した。  既にメイも並んでいる。  俺達は飯田橋博士の話を待った。 「お前達に問う! 日本は好きか?」   やばい何それ、ちょっと軍隊っぽいな。  世界中酷い状況らしいが、日本はまだ先進国の上位だ。  こんな世の中になってもまだ暮らしやすいし、勿論好きに決まっている。  俺達は『おー』と応えた。  確か博士が好きなのは『イエス・マスター』だったっけ。まぁいいや。 「実はな富士方面でこれまでにない強力な魔獣達の大量発生(スタンピード)が確認された」 「そこでお前達の先輩達が対処しているが数が多く、今我々はかなり劣勢な状況だ」  なんだって! この『無敵セット』で先輩達が対処出来ないほどの魔獣もいるのか。 「このままでは間違いなく日本は滅亡する」  日本の人口は全盛期の1/8程度になってしまったが日本もこれ迄なのか?  クソっこれからやっと社会に出て働けると言うのに。 「今、学生で新米のお前らを戦いに出せば確実に死ぬだろう」  確かに俺達はまだ『ビート』4級でレベル5だし経験は足りてないな。  それにまだ死にたくない。 「そこでだ、魔獣の調査と過去の歴史記録を精査したところ、今の魔獣達には7匹の祖先となる獣がいる事がわかった」 「お前達の判断に任せ決して強制ではないが、過去に行きこの魔獣の祖先達を見つけ出して退治して来て欲しい。行ってくれる者はいるか?」    ロボットを含めて全員が手を上げた。 「なーに、いつでもこちらに戻せるから安心しろ」  タイムマシンも飯田橋博士のお兄さんが作ったものだ。  倫理的な許可が簡単に政府から出ないだけで、タイムマシンを使うのはそう大変な事ではないらしい。  勿論俺達男子高校生は誰も使った事などないがそうは心配していない。  インカムも時間を超越して使えるそうだ。 「よしすぐに準備して出発する。各班に分けるからすぐに準備を開始しろ」 「お前達の制御端末に必要な情報を送っておくから中身に目を通しておくように」  資料をA.I.に読んで貰うと、どうやら平安時代に藤原定家と言う人が『明月記』と言う記録を残しているらしい。  そこには過去の天体観測の情報がいくつか記録されているらしく、その頃スーパーノヴァが観測されたそうだ。  その記録と他の情報を照らし合わせるとその際の宇宙線で魔獣の祖先が生まれたのだと言う。  いや『ビート』ばかりでなくもっと歴史も勉強しておくんだったなぁ。  タイムマシンが出来てからは歴史の授業で使う教科書は劇的に変化した。  しかし事実と言うのは往々にして余り面白くないから結構サボっちゃったよ。  もしも平安時代の人達と戦うような事になっても、このセットならば無敵だろうから心配はいらない。  問題はこの7匹を見つけ出す事が出来るかだ。  俺達に小型の種別判別器が配られた。  このセンサーでその個体の様々な情報が得られるそうだ。  これで魔獣の祖先が見つけられればどうにか出来そうだ。  Pスーツで目の前の3Dホログラムにスクリーンアップして確認してみる。  タカシが俺のメイの設定を見たくて覗いてきた。  最近覗き見防止技術が向上して、俺のほぼ真後ろじゃないとこれ何も見えないんだよね。  しつこく聞くから『幼馴染設定』だとタカシに教える。  タカシはニヤニヤして『俺はメイド設定だよ』と自慢そうに言い『おかえりなさいませ、アレク様』とモノマネをしてゲラゲラと笑う。  まぁ俺達男子高校生なんで許して欲しい。  俺とメイのペアはB班に割り当てられ千葉の方で猪のような魔獣を探す予定だ。  同じB班には頭のいいケンジや運動神経のいいタカシもいるから安心だ。  フトシ、お前の小学生姿のロボットは犯罪っぽいぞ。  ポーチじゃなくてその大きな赤いランドセルは確かに便利そうだが、、、。  時間になりB班がタイムマシンルームに入った。  メイとペアで光るリングを掴む。  電子的な音がするとみんなペアで掴んでいるリングが青く光り出した。  俺達ペアのリングだけ黄色に光っている。大丈夫なのか?  暫くすると目の前が光で満たされ何も見えなくなった。  すぐに視界が戻るとそこは知らない森の近くの草原にいた。  舗装されていない道がある。  あれ? みんながいないぞ?  辺りを見渡すとまるで海外の風景のようだ。  平安時代ってこんなだったのかな?  メイが心配して怖くなったのか俺の左腕にしがみついて来た。  胸が当たる感触が心地よくて気になった。でへへ。 「ねぇアレク、ここちょっとおかしくない?」  いや、ロボットのメイにとっては衛星GPSも電波塔もないからね。  それは違和感はあるだろうが過去なんだから仕方ないだろう。  インカムの通信には確かメイそのものがアンテナの役割をするはずだ。 「ちょっとみんなとはぐれただけだろう? 探してみようよ」 「そうじゃないのよ、大気の組成がどの時代にもマッチしないの」  何難しい事を言ってるんだ。  呼吸なら問題なく出来るぞ。  まぁちょっとしたトラブルだろうから、取り敢えず博士に連絡してみよう。  俺はインカムを操作して飯田橋博士に連絡した。 「ガガッ、ギー、・・レク、アレク聞こ・るか?」  ちょっと電波が悪いようだ。メイ頑張れ。 「飯田橋博士、ちょっと電波は悪い様ですが聞こえます。みんなとはぐれちゃったみたいなんですよ」 「・・お前達だけタイ・・シンのトラブルで別の所・行って・まったみたい・・んだ」 「博士、電波が良くない様です。一旦俺達を戻して貰えませんか?」 「電波が悪そ・だな、メイに抱きつい・貰え」  えっ? メイに抱きついて貰う?  「メイ?」  メイはブラウスの前をはだけると俺に抱きついて来た。 「はっ博士、だ、抱きついて、も、もらいましたが、何です? これ? ちょっとドキドキなんですけど」 「おお、良く聞こえるようになった。メイはアンテナだからな。お前と接触が多くなって電波が良くなっただけだ。しっかりと肌を密着してろよ」  なるほど肌で密着したほうが電波がいいのか。  するとメイが 「かっ、勘違いしないでよね!」  と顔を赤らめて言う。  あ〜、俺この設定にして本当に良かった〜。 「アレク。どの時代にチューニングしてもお前達が見つからないんだ。インカムが繋がるのだから必ず見つけ出す。それまでお前達はそこで余り動かずにサバイバルしていてくれ」  どうやら俺達は見知らぬ時代で帰れなくなってしまったらしい。 「わかりました。なるべく早くお願いします」 「ケンジやタカシ達は任務に向かわせた。お前達もすぐに対処するからそこで待っていろ。では通信終わり」 『サバイバル』とか、なんか心配だなぁ。  と思うといきなりメイが上段右後ろ回し蹴りを繰り出して縞々のパンツが丸見えだ!  いや今見るのはそっちじゃない。アニメで見たようなゴブリン達が棍棒を持って俺達に襲いかかって来た。  わっ、日本にゴブリンなんかいた時代なんかないだろう。  いったい何なんだよ! ここはっ!
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