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第十七話:これを手に取る覚悟
アランは家に入ると、まっすぐ物置に向かい何かをゴソゴソ探している。
「俺も手早くすまそうかな」
ミナトは部屋のすみに置いてあるアタッシュケースを開け、ホルスターとナイフを取り出し、手早く装備していく。
ハンドガンは左側、ナイフは右側、両方とも脇ではさむように装備する。
「すごい、手際いいね」
「毎日やってるからな、さすがにもう慣れたよ」
ほんの、一週間前まではモデルガンすら見たことなかったんだけどな。
と自虐気味に笑いながらベルトを止める。
「お、あった。ミナトこれ」
アランが大きなアタッシュケースを物置から出してきて、ミナトの前に置く。
「これは?」
「有事の時にミナトに渡せって、イーサンが」
「イーサンが?」
銀色のアタッシュケースを開けると、所々木製のパーツが使われた銃身が長い銃が入っていた。
これはサブマシンガンではない。どちらかというと――
「アサルトライフル……」
「旧ノースウェル軍採用アサルトライフルの前期型、らしいよ」
ハンドガンや、サブマシンガンも決して殺傷力が低いという事は無い。
実際、ミナトはこれらを使って何人も敵をこの手にかけてきた。
だが、イーサンはあくまで自衛用にこれをミナトに渡していたはずだ。
しかし今回は違う。
「これは……少し覚悟を決めないとな」
「覚悟?」
アランが「今さら?」とでも言いたげに首をかしげる。
自分でもそう思いつつ苦笑する。
「まぁこれは完璧に自分のエゴなんだけどさ。これまで受動的だった戦場が、これを手に取ると能動的に向かっていくものに変わる感じがしてさ」
目をつむりゆっくりと深呼吸をする。
そして目を開け、アサルトライフルを手に取る。
これまでとは比べ物にならない、重みを感じる。
「覚悟は決まった?」
手早くストラップを取り付け、肩にかける。
予備のマガジンはベルトにさす。
「ああ、ごめん待たせた。行こう」
装備の総チェックをして、ドアを開ける。
「そういえばカエデをダンテの所にいさせてもらう事ってできないかな?」
「イーサンもそうした方がいいって言うと思う」
「よし、そうと決まれば急ごう」
カエデに今話したことを簡単に話す。
するとカエデは「分かった、頑張る」と、大きくうなずいていた。
「じゃあ行こう」
爆発から数分たったからか、煙の匂いがここまで漂ってきている。
カーヴァー本邸の状況は着実にひどくなっている可能性が高い。ミ
ナトたちは、本邸への道を急いだ。
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