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新学期は大騒ぎ
私、宮島鮎巳。今日から私立緑陵学園高等部普通科の1年生。白いブレザーに赤と緑のチェックのスカートの制服が可愛くて、ずっと憧れていた学校だったから、合格できてすっごく嬉しい。
これは新生活、楽しくなるぞー! なんて思っていたんだけど…
「おっかしいなー。ここ、どこ?」
友達と講堂に向かう列に並んでいたはずなのに、いつの間にか私だけ列を外れてしまったみたい。校舎らしき建物の裏だというのはわかるけど、この学校って同じ敷地に3つの学科の校舎があるから、どこのだか全然わかんない。
校門の所でもらった案内図を見てもダメ。
目の前にある大きな木くらい書いてくれててもいいのに、なんて思いながら私が木を見上げた時だった。
「え…?」
風が吹いてないのに枝が揺れて、青い光が飛びだしてきたように見えた。
1人の少年が木から飛び降りてきたんだと気付いたのは、目の前に少年が立った時だった。
少年の髪の色は染めたにしては妙に自然な青。会いたくてずっと探してる、優しい『あお』と同じ色。
「『あお』…」
思わず呟いた私の声が聞こえたのか、少年が振り向いた。
綺麗な顔立ち。瞳は… 青。『あお』と同じ色だった。
「あ、あの… 私、講堂に行こうとしたら迷っちゃって…」
無言で首を傾げる少年に慌てて理由を話すと、少年は目を見開くと私を手招きした。
「連れてってくれるの?」
少年は笑顔で肯いた。
「ありがとう」
私は少年の後について歩き出した。校舎の前に回って並木道を歩いていると、少年は十字路で立ち止まって一方を指差した。その先には講堂がある。
「ありが… あれ?」
お礼を言おうと振り返ったら、少年はどこにもいなかった。
…夢だったの?
首を傾げた私の耳に、拍手の音が聞こえてきた。入学式が始まったんだ。
「急がなきゃ」
私は慌てて駆けだした。
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