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七夕の夜。今年も梅雨明けはせず、しかも豪雨で空は真っ暗。更に現在、新型ウィルスが世界中に蔓延していて、恐怖と常に隣り合わせ。外に出ることもままならない世代になってしまった。
だったらせめて、一年に一度の織姫と彦星の逢瀬の日くらい、晴れ間を下界でも見させてくれればいいのに、と思う。
こんな憂鬱な雨の日は決まって思い出す。別れたあの人が、何時も聴いていた有名なアーティストの曲。
この曲を歌っているアーティストは、若くして既に亡くなっているらしい。
才能溢れる人は、天に召されるのも早いのだ。そんな人なら見れるのだろうか。上空なら、下界と違って晴れている天の川や星降る夜を。
そんな七夕なのに、何故『また、春に会いましょう』というフレーズが残っているのだろう。
それは、別れた日が今日だったからだ。
だから毎年、あの人とこの曲を思い出すのだ。
新型ウィルスの影響で、電車通勤は避けている。最近専ら車通勤だ。
帰り道、カーラジオをつけていると、たまたま思い出したその曲が流れた。
ラジオネーム『星降る夜に』さんからのリクエストだった。軽快なアレンジの曲が流れ、あの人が好きだったアーティストの歌声が流れ出し、美しい音の星を降らせていく。
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