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――七夕にちなんだ特別な物語、どんどん読んじゃうよー。あー、さっきの『星降る夜に』さん、ナナコさんから電話あったかなぁ? もし連絡取れたら、番組まで連絡ちょうだいねー。さあー、次の手紙も読んじゃうよー。
DJは歯切れよく次の手紙も読み上げていった。
「あの・・・・ナナコ。今のこのラジオ、聴いてた?」
「あ、うん・・・・」
「これ送った『星降る夜に』ってラジオネーム、僕だって解った?」
「うん・・・・でも、あの・・・・今更なんて言っていいか解らなくて・・・・車停めて、星夜さんに連絡してみようかと思ったけど、勇気・・・・出なくて」
思わず俯いたけれど、思いのほか星夜さんの明るく「よかった」という声が聞こえたので、顔をあげた。
「いやっ、嬉しいよ! 僕の事思い出してくれて、連絡しようと思ってくれただけでもさ。ありがとう。急にごめんね。なんか・・・・毎年七夕になると、ナナコの事思い出してさ。七月七日生まれなんてすごく素敵な誕生日なのに・・・・僕のせいで最悪な誕生日にさせちゃった事、ずっと後悔してて・・・・謝りたかったんだ」
「ううん。星夜さんは悪くなかったの。ごめんなさい。私が悪かったの。好きなのに優先して貰えない事が悪みたいに思えてしまって・・・・社会にも出ていない小娘だったから、星夜さんの苦労を解っていなくて、つい、別れようって・・・・思ってもいない言葉を口にしてしまった事、後悔してた。私も、星夜さんに謝りたかったの。ごめんなさい!」
胸につかえていた想いを伝えた。
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