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「僕が、ナナコの素直な気持ちを受け止める余裕が無かっただけで、ナナコは悪くないよ。一生懸命僕を好きでいてくれただけじゃないか」
相変わらず優しい声。そしてふわっとした笑顔。
やっぱり好きだ。忘れようと思って知らない振りをしてきたけれど、もう限界。
別れて三年も経つのに、新しい彼氏と付き合えないのはこの人のせいだ。
「あの・・・・星夜さん。さっきのラジオの手紙ってまだ有効?」
「勿論だよ」
「私っ、今日誕生日なのに、誰にも祝って貰えない淋しい女なの。お祝いしてくれるって・・・・言っていたけど本当?」
「勿論、いいよ。今からお祝いしよう! 僕にさせて」
星夜さんが笑った。
窓の外から、雨粒が街灯に照らされてキラキラ光っている。彼の笑顔を照らしているように見えた。
等間隔に並べられたイルミネーションは、まるで天の川のように路面に反射して輝いている。今、光輝くこの瞬間は、雨に照らされた美しい光の星が無数に降り注ぐかの様に見えた。
見つめ合うと、二人の距離がどんどん縮んでいく。
そっと目を閉じると、星夜さんのキスが降って来た。
-完-
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