不可思議なお兄さん(3)

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今自宅に居るのは、兄さんと小春の二人っきり。 だからお兄さんの袖口をクイッと掴む。 「そばにいて、下さいね?」 「まあうん。大家さんに連絡が取れるまでは居させて貰おうかな」 大家さんと連絡が取れるまでの限定付き。 頭を掻いて困りながらも受け入れてくれたお兄さん。 「名前なんて呼べばいい?」 「じゃあ、小春で」 「小春ちゃんね」 お兄さんの名前は知らないけれど小春は名前を言う。 『小春ちゃん』という低声でゆったりとした声色に癒されてしまう。 「‪あ、あの、また・・・・・・」 二人の会話が一旦終わると、声に出して何か言いたげな小春。 ん? と察したお兄さんは、小春が自らの口で言うまで待っててくれた。 じーっと目の前で見つめてくるお兄さん。 ついお兄さんの顔を見ていたら、小春の頬が桃色に染めてしまう。 「頭、撫でてもらってもいいですか」 やっとの想いでお願い事を言えた。 なのに最後の語尾が上がらなかったのだ。 お兄さんにちゃんと読み取って貰えたか心配になる。 その束の間に生暖かい手の平が感じられた。 「こうでいい?」 「う、うん」 お兄さんが分かってくれた。 小春のお願いさえも聞いてくれた上に、優しい口調で胸が高鳴る。
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