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中学時代に行われた、異様な異性からの幾度となく遭う日々は過ぎ去っていく。
高校生の春頃ーーー
「小春、おはよう」
「・・・・・・」
同級生の異性から朝の挨拶をされるも応えられるじまいだ。
内河 小春は、異性に嫌われると自ら思う。
決して異性には好かれない存在だと感じた。
母子家庭で一人っ子の小春。
家庭と学校の資金にと母親は夜遅くまで働き詰めだった。
「ただいま〜。今日もいい子にしてた?」
玄関先に行くといきなり母親に抱き着かれる小春。
(きっと仕事の疲れだろう)
母親を労わるように抱き締められるのを受け入れた小春。
「うん。夕ご飯作ってあるから一緒に食べよう」
抱き着かれた状態で母親の顔を見ながら夕ご飯を作った報告する。
すると満面な笑顔の母親が小春の頭を撫でながら何度もお礼を言うのだ。
「有難う、有難う。小春は自慢の娘よ」
小春の思いや感情を知るよしもない母親は、テーブル上に並べられた夕ご飯を黙々と食べる。
「小春、天才ね。こんな美味しいご飯を作れるなんて」
「それは大袈裟だよ」
母親の大胆な褒め言葉も軽く母親の言葉を引き下がり慎み控えた。
そんな褒めちぎる母親を小さい頃から見ていた。
その度に否定を繰り返してきた小春。
小春の否定的な言葉さえも平気で受け入れる。
だから、これ以上は母親を困らせる行動はしないようにしている。
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