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母親の言う通りに学校への道のりを歩いていく。
特に理由もなく辺りを見渡すと公園のベンチで寝転がっている男性。
公園の外から男性を見る為に立ち止まる足。
やけに若そうと思いながら学校への道筋から離れる。
「だ、大丈夫ですか?」
見知らぬ男性に声を自ら掛けるのは傍から見ればおかしい光景だ。
「んんー、大丈夫だよ・・・・・・はぁ〜」
寝転がったまま目を擦りながら欠伸をする男性。
「眠たいなら家に帰った方がーーー」
異性が苦手なクセに話し掛けて見知らぬ男性に心配までかける、この感情はなに。
「ウチ、今鍵失くしたから大家が起きるまで待ち中」
男性はベンチに寝転がっている理由と片手で携帯をヒラヒラと見せ付ける。
鍵を失くしたら大ごとなのに呑気に寝ようとしているのが不思議でしょうがなかった。
「なら、親。今、居ないから寝たら? ベンチよりかはいいかも」
真逆であればやばそうな言葉を口走る小春。
学校に行く最中なのは制服姿を見られているか理解しているみたい。
「有難いけど学校は?」
「学校は・・・・・・サボりたい気分なの」
「へぇー、見た目によらず悪い子だね」
「いつもはちゃんと行ってまーす」
「はいはい」
学校に行けば授業があり昼ご飯を食べて、また授業からの帰宅という退屈な日々。
学校をサボりたくなったのは本音かもしれない。
寝転がっている男性がベンチに座ろうとした瞬間。
初めて男性の顔を見た。
一重の切れ目に細めな眉毛。
ふんわりとした柔らかめな髪質に爽やかなナチュラルのショート。
服装は、コンビニに行くようなラフな格好だった。
「綺麗、な顔ですね」
「有難う」
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