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「お兄さん、寝る? 寝るなら私のお布団、貸しますよ」
お兄さんとの距離感が分からないまま。
さっきまでお兄さんが寝転がっていた事を思い出す。
(お兄さん、眠たいのかな)
「大丈夫、眠たい訳じゃないから」
気遣いをしたつもりが断わられてしまい、しゅんと落ち込む小春。
「有難う」
そっと頭の上から触れられた感触がした。
お礼を言いながら頭を撫でてくれた。
(なんて優しいお兄さんなんだろう)
もっとーーー
「お兄さん」
「ん?」
「私に・・・・・・『愛情』を与えてくれますか?」
お兄さんと一定の距離を保ちながら、小春の中にある“ 異性による愛情不足 ”が湧き上がる。
「え?」
「無条件に、そうされたいんです」
「そうなの?」
頭を傾げながら不思議そうに質問をするお兄さん。
それもそうか、と小春でも変な言動だと感じている。
「うん。ただ私のことを見ていてくれて愛情さえくれれば、いいんです・・・・・・」
ただ頭を撫でられただけなのに。
異性から生まれて初めて優しい愛情をくれた気がする。
ついお兄さんに甘えたいというワガママを言う悪い子になろうとしている。
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