不思議なペンダント

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「なーんだ、春日くんじゃなかったんだ!」  次の日の放課後。あたしはこりもせず、空き缶を蹴飛ばしながら歩いていた。  実はさっき、菜那に昨日の事を聞いたのだ。  すると。 「やっぱり誤解してた! あの子は春日明日くん。この学校にいる春日今日くんの双子の弟よ」  やっぱり、ほっとした。  でも、なんで菜那が春日くんの双子の弟の事を知ってたんだろう。  聞いてみたけど、内緒って言われちゃった。  やっぱり、菜那って冷たい奴!  あたしは空き缶を力任せに蹴飛ばした。 「痛い!」  やばいっ! 人にぶつけちゃった… 「ごめんなさい!」 「いいえ、気にしないで」 「でも…」  あたしはその人の顔を見上げた。  か、春日くん! 「岸結乃さんですよね」 「は、はい」  あたしはなんとか返事をした。 「俺、春日明日、です」  昨日ぶつかった、春日くんの弟だった。  やっぱり、似てる! 「…これ、読んで下さい」  明日くんはあたしに封筒を押しつけると、全速力で駆けて行った。  なんだろう、これ。  あたしは封筒の中身を取り出した。 『あなたが好きです。付き合ってください』  白い便箋に書かれた一行の言葉。あたしは妙に感動してしまった。  明日、すぐに返事をしよう。  『もちろんです!』ってね!
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