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ハンマーを放り出し、ただの肉の塊になった友人を引き摺っていく。
奥の部屋に黒々と蟠ったものの上に放り出すと、由美理は部屋を出た。
スニーカーを部屋に蹴り入れて、鍵を掛ける。
「……馬鹿ね。だから、早く通報しなさいって、言ったのに」
苦く呟いて、眉を顰める。
新築のマンション。
すごくお金がかかったのよ。
会社の生死がかかってる。
おかしな噂は困るの。
――でも緑子になら、一部屋だけ貸しててあげる。
永久に。
少しの間の静寂。
去っていく靴音。
由美理は振り返らなかった。
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