二人のラストクリスマス

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もうすぐそこが広貴のマンション。 私はここから チヨコレイト3回分位で着く。 「……まだやる?」 広貴の言葉に ううん、と首を横に振った。 振り向いて そこに誰もいなかったら寂しいもの それならば ちゃんと手を振り別れたい。 「………それじゃ ここで……」 私の言葉に 小さく頷く広貴 「……元気で……な」 「うん……広貴も 頑張り過ぎないでね」 また小さく頷く。 なんで……? そんな寂しそうに 今にも泣きそうな顔しないでよ あなたにはまだ見ぬ 輝く世界が待ってるんだから。 「はい、後ろ向いて」 「へ……」 「ほら、早く!後ろ向くの」 私は戸惑い気味の広貴に触れて 背中を私に向けるように マンションの入口へ向かうように動かした。 そして最後に そっと背中から抱きしめた。 「……広貴と会えて良かったって 心から思ってる……。 ……ありがとう」 「……オレも……同じ……」 「良かった……」 もうそれで充分 抱きしめてた腕を解く。 「行ってらっしゃい」 トンと背中を押すと 1歩踏み出した広貴の足が ゆっくりとマンションの方へと歩き出す。 黒のロングコートが風に揺れて 一度振り向いた広貴に 精一杯の笑顔で手を振った。 さようなら 大好きな人 その背中が消えるまで見送って 私も歩き出す。 冷たい空気を思い切り吸い込んでみる。 ほんの数カ月だけど 私はとびきり素敵な恋を あなたとしたと思う。
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