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──あの子、SERIKAの妹らしいよ。
中学、高校、大学。
どこに入学したってあたしはお姉ちゃんの妹しての目でみられる。
大学なんて知らない子達ばかりだったから、やっと解放されると思ったのに人気モデルというのはそうはいかないらしく、そこでも噂はつきまとった。
──妹だっていうから期待したのに。
──なんだ、あまり可愛くないじゃん。
──両親のいいとこ全部姉に持っていかれたか?
なんて心ない言葉は聞き飽きた。
そんなあたしが自分に自信が持てるはずはない。
「相手役の子ね、紗羅に会えるの楽しみにしてるって」
「……ふーん」
まただ。
その人もきっと、お姉ちゃんの妹という存在のあたしに期待してる。
勝手に期待されて勝手にがっかりされて。
あたしが普通なのはあたしが一番わかってるよ。
もうそんなのには慣れたからいちいちもうショックなんて受けないけど。
「モデルのRYOくんなんだけどしってる?」
「知らない。モデルとか興味ないし」
「えー、でもいますっごく人気だよ」
お姉ちゃんがスマホの画面をみせてくる。
「キラキラした男子苦手なんだって」
仕方なくお姉ちゃんが見せてきたスマホを視界にいれる。
そこにやっぱりキラキラした笑顔で輝いている男の子の写真。
キラキラした男子なんて大嫌い。
地味にクラスに存在するかしないかくらいの人があたしには合ってるんだよ。
お姉ちゃんのことを言われるのが嫌で、人に気づかれないように過ごす生活をもうなん年もしてきている。
ここにきて、そんなキラキラ男子と一緒に雑誌にのるなんていいんだろうか。
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