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朝の7時
「よし、頑張った頑張った!」
仕込み作業終わり
弁当のおかずがずるっと並ぶ。
週で変わるメニューたち。
唐揚げ弁当の唐揚げ
のり弁
日替わり弁当
あとは、常連さんたちの数や買われる時間を予測し
て揚げたり詰めるだけとなる。
心優はポンポンとエプロンを叩き
布巾とアルコールでカウンターや店頭の掃除を始める。 普段はこのくらいになると祖父母が来て一緒に準備を始める。
祖父母が準備に店に来た。
「おはよう!」
心優は笑顔で挨拶する。
ここの弁当屋を祖父母と一緒に営むために
他人には優しく、笑顔は忘れずに楽しく仕事をしたいと心に決めて日々仕事をこなしている。
「おはよう。毎日心優は可愛いね。
心優に本当に助けてもらってるわ…」
「そうだな、毎日毎日大変だろうけどな。本当にありがたいよ。」
2人はとても心優には優しく、いつも温かく見守ってくれていた。だからこそ、笑顔で毎日過ごすことも出来ているのだ。
「あ、おばちゃんたち。今日ねI&Kホールディングスの社長から手紙が来ててなんか見覚えある?あんなに大きな会社から」
「あれ?なんだろうね。なにかあるかしらお父さん」
「ん?見覚えはないが…」
「じゃ、とりあえず私が見てみるね。」
作業がひと段落したため、棚の上に置いていた手紙を開けるねと言い開き読む。
……
「ちょっと、どういうことよ!これ!」
グシャ
心優は手紙を見ると冒頭に記されている文字に
唖然とし手紙を握りしめてしまった。
「ちょっとおじいちゃんたち!なんか、すごく大変なことになってる!!」
バンッ
心優は祖父母に手紙を見えるように広げる
老眼でも見えるくらい大きな文字で強調されてあった。
《《土地開発のため現店舗のある
土地の立ち退きをお願いしたい》》
「「はい?!」」
祖父母も驚いている。
補償や移転がどうとか色々後に書かれているが
要はビルを拡大したいため、この土地を立ち退きしてもらいたいとの内容。
心優と祖父母達は驚きもあるが
大手の会社に言われれば強制でもやらざるおえないだろうと落胆してしまった。
しかし、この土地で長年やってきたからこそ常連さんや高橋の弁当を楽しみにしている人達もいる状況で簡単に移転等していいものなのか心優には疑問であった。そもそもそんな話を手紙で通知はどうなのかとモヤモヤしてしまう。
「おばあちゃん、おじいちゃんたちはどうしたい?」
この際2人の意見を聞いてからどうするか決めようと思い2人を見る。
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