俺様現る

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2人は顔を合わせ 悩んだ表情で話し合うと ここからはなるべく離れたくない。ここの思い出がありすぎて他のところに行くならお店は辞めようと思う 開店前にする話ではないけれど 2人はこの店を大事にしてきたし 人生の楽しみでもあるということが伝わってきた。 心優もそうしたかったから 2人の思いをなるべくなら叶えてあげたいと思った。 「分かった!私もそうして欲しいから、お店守るね!」 よし、今日も頑張ろ 3人で声をかけて8時に開店。お店のシャッターを開けると、並んでるお客さんが数名いた。 「いらっしゃいませ。」 心優は接客担当しメニューを聞いて周り、出来たものを袋ずめをする。レジもやるようにしている。 「いつものお願い」 「かしこまりました。宮本さん、今日も頑張ってくださいね!」 「あ、ありがとう///」 「俺もいつもの〜お願い」 「かしこまりました!」  客も常連も多く顔を心優はできるだけ覚えており、好みや嗜好もなるべく分けるようにしている。ここの客つきがいいのはお弁当のクオリティだけではなくて、心優目当てで来ている客もいる。 『今日も心優さん可愛かったなぁ。笑顔で話されると目が離せなくてドキドキするよな。お弁当も美味しいし安いし癖になる』来る客の中にはそう言って常連になる人も沢山いた。心優は全くそのような好意を待たれていることは気付いてもいない。 開店と同時に客も続々と来ることもあるが 1番ピークが11時から13時までの間。会社の休憩時間なのだろうが注文が殺到するのだ。 この時間だけは本当に辛い…… と思って落胆している暇もなく時間は過ぎていく。 あっという間の18時、高齢の祖父母のために閉店はこの時間に決めている。 うーん ゴキッパキッ 両手を天井に伸ばし背骨を反らせると 背骨がなる音が聞こえる その音が毎日のハードな仕事内容を実感させる。 いつもなら仕事後は自宅に帰り、夕飯、お風呂そして次の開店に備えて早めに寝るリズムで生活している。祖父母たちはある程度片付けたら自宅に帰り、残りの仕上げは心優がやることにしている。 今日は手紙の立ち退きについて、とりあえず電話をして説明をしてもらいたい思っていた心優は1人残る店舗から電話をかけた。 ーーープルルルプルルルル ガチャ 「こんにちは。こちらはI&Kホールディングス本社になりますがどうされましたか?」 「私は七本木にある手作り弁当高橋のものですが、遅くにすみません。今日、そちらの社長さん?から手紙がありまして、立ち退きの件で話がしたいのですが」 「社長とはアポをお取りですか?」 「今日きたばかりなので、私達も驚いているんです。アポはとってません。」 「社長はお忙しい方なので、なかなか空いている時間がないと思われますがこちらの都合で良ければ予約をお取りしますね。そうしますと…………早くて 明日の10時であれば話はできるかと思います。」 「そうですか……わかりました。 明日10時からよろしくお願いいたします。」 「かしこまりました。社長にお伝えします。 それでは明日お待ちしております。」 ーーガチャ 失礼致します。と切れる。 明日も店番あるのに…… そもそも、そっちが言ってきたことなのに直接話するのダメなの?話する気もないって? むしろ、そっちから説明する責任あるよね? 心優は相手の会社に言いたいけど言えないなんともイライラが募るようであった。 明日と言われたら行くしかない状況であるため心優は祖父母に伝えると「大丈夫だよ。言っておいで、ごめんな。年寄りが行っても話にならないと困るから……とお前に心優にお願いするしかなくて。心優には揉め事に対応してもらって申し訳ないよ。」と言われる。 私だって他人でも居候でもないし、 この家の人なんだから気を使わなくてもいいのに。 いつも優しく接してくれる祖父母のためにも しっかりしなくちゃと思い家に帰った。
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