俺様現る

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 話し合い当日。変わらず朝から準備し開店。祖父母も来て10時には会社に行けるように作業は済ませた。 おじいちゃん達に店番はお願いし、一旦自宅へ帰る。 というか全く考えてなかったけど、さすがにTシャツにジーパンはダメだよね…… 普段は店に出ることが多いため 服もラフなものしかない。衣装ケースを見ると唖然とした。私ってこんなにセンスなかったの?! Tシャツにジーパンの山 というくらい外用の服がほぼない。 こ、こんなの着れない……どうしよう! みんなオシャレなスーツで着飾ってるのに……  心優は悩んだ挙句、半分諦めてスーツケースにあった何年も前に就職活動で使ったスーツを発見し恥ずかしさもあるがこれしかないと思い着る。我ながら昔のものを良く取っておいたもんだと褒めた。白いシャツにタイトスカート、ジャケットを着ることは出来た。 身体がやや成長したのかウェストは入っているがヒップや胸もパッツンパッツンでタイトになってしまっていた。髪型を整え、そんなことも気にする余裕もなく向かった。 「約束10時に間に合うかな…… 準備に時間かけすぎたよ〜、も〜。」 心優は急いで会社に向かって10時05分にになってしまった。 ここがI&Kホールディングスのビルか〜 大きいビルに敷地もかなり広い。他のオフィスビルに比べても一二を争う大きさである。近づくとエントランス前にオブジェがあり、お洒落なOLさんたちが歩き、スーツを見にまとう男性も出入りしている。自動ドアを開くと、そこには綺麗な女性の受付嬢が居る。 心優は息を荒是ているのを落ち着かせ、受付に声をかける。 ハァハァ  ふぅ  よし! 「すみません。」 「こんにちは。I&Kホールディングス 七本木ビルになりますがご要件はございますか?」 「今日10時から社長さんと約束をしている高橋なんですが…」 「?!10時です?」 「あ、はい。」 「き、聞いております。高橋様ですね…わかりました。社長室へお通ししますので案内をお待ちください。」 少し違和感を感じた社長という言葉を出した時から受付の女の人は綺麗な顔を歪ませ明らかに焦っていた。  心優は案内された受付前のソファに座るがソファが思ったよりも柔らかくフカフカしていたため気持ちよさに驚いた。リクルートスーツを見にまとい、カバンを抱えているのを改めて見ると面接前の新人さんみたいであり恥ずかしさもあった。そんなことを思っていると、目の前のエレベーターのひとつが開いた。出てきたのが海外ドラマに出てきそうな美人の女の人であり、長い髪をかきあげ、花柄のタイトなワンピース、高いヒールを履いておりスラットした足をこちらに向けて進んでくる。私よりは歳上の大人の女性だ。受付に向かって歩いてくる。  ももしかしてあの人が社長? 女の人だったんだ……緊張する……  その女性は受付で声をかけると周りを見渡し、私と目が合う。   ニコッ 心優は目が合って笑いかけてくれた姿を見て 少しホッとする。綺麗でこちらがドキッとした。 「こんにちは。高橋様お待たせしてすみません。」 「いえ、こちらこそ。約束の時間少し遅れてしまって…」 「いいんですよ。では社長室に参りましょう。」 「あ!あの…社長さんですか?」 「あ、いえ社長は部屋でお待ちです。挨拶遅れまして、秘書の如月と申します。ささ参りましょ。」 この人秘書の方だったんだ…… こんな綺麗な秘書を持ってるなんて羨ましい、 エレベーターの36階を押している。 「私てっきり社長さんかと…失礼しました。」 「いえいえ、私はてっきり高齢の男の方かと思ったらこんなに可愛らしい方が来ていたなんて驚きました。」 「いえいえ///」 可愛らしいなんて言われたけど私もう28だし、いい大人。 「着きました。こちらが社長室になります。」 案内された部屋はオシャレな空間に包まれており右側に秘書のディスクがあり少し行くと社長室の扉があった。 「社長、高橋様がおいでになりましたよ」 「…………あぁ、通してくれ」 低い声 男性なんだ ひしの如月さんは私に笑顔で顔を向けると どうぞと、いいドアを開けてくれた。 心優は1つお辞儀をし部屋に入ることにした。
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