PM 8:00(悟サイド)

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PM 8:00(悟サイド)

「おい悟っ!!大丈夫かっ!?」 頭上から トモの声が降り注いでいる。 一瞬何が起こったか分からなかったが、無残に倒れた回転椅子を見つけて全てを察した。 「・・・あぁ・・・大丈夫・・・」 とりあえず無事を伝えるために座り直す。 「頭とか打ってないっ?」 愛奈に心配そうな視線を向けられ、トモは顔を下に向け、康介は目のやり場に困ったように不自然な眼球運動を始める。 ・・・もう・・・おしまいだ・・・( ;∀;) 俺の頭は羞恥一色だった。 数秒の耐え難い沈黙の後、康介が画面上の女の子に話しかけた。 「・・・えっと・・・こんばんは・・・」 「こんばんは」 女の子は無邪気に笑った。 「骨格の動きとか・・・間違いねぇ。これ生身の人間だわ。」 「お名前は?」 愛奈が優しく聞く。 「・・・んっとね・・・しらないひとにおしえちゃいけないって ママがいってた。」 そりゃそうだよな・・・最近の子はしっかりしてるなぁ・・・でも ママ? 「ねぇ  近くにママはいるの?」 「うん。ユウのおふとん とりかえてる」 「・・・・・・」 そこにいた誰もが少女の顔をじっと見た。 目尻が軽くつり上がった感じ・・・誰かに似てるような・・・ 「あっっ!!!」 開いているドアから飛び込んできたエッコは、急いでユウ(?)ちゃんを抱き下ろす。 が、時すでに遅し・・・ 「・・・・・・」 「「「「・・・・・・」」」」 再び現れる 気まずい瞬間だった。 「子どもっっ!!!???」 「う・・・うん・・・えっと・・・」 エッコはバツが悪そうに視線を逸らす。 「いつからだよ」 「大学・・・入るちょっと前・・・」 「じゃあ その子は 5歳・・・ぐらい・・・?」 「ううん。ママは26さいだよ。」 「ちょっと!!」 「「「「・・・エェぇぇぇぇぇっっ!!?」」」」 いやちょっと待て待て待て!!!色々起こりすぎてて何が何だかさっぱり分かんね―んだけどっ! エッコは、「あーっ・・・」という感じで頭を抱えてた。 「・・・話してみて・・・エッコ」 画面の秩序が保たれてから、愛奈が問い掛けた。 「だから私・・・本当の年 言えなくて・・・」 「いや 逆にびっくりだわ!全然そんな4歳離れてるって気づかんかった!」 「違和感なかった」 「普通にお姉さん系の人だって印象だった!」 いや  子どもよりそっちかい!!!まぁ確かに、俺も全然分からなかったけど・・・ 「・・・これユウのぶどうジュースじゃん」 ユウちゃんがグラスに鼻をくっつけていた。 「エッコ・・・もしかしてお酒飲めないの?」 「飲めないっていうか・・・飲まない感じかな。仕事に響いちゃうから・・・」 「もしかして  サークルとか入ってなかったのも・・・」 全てが繋がったように康介が口を挟んだ。 「保育園とか 実家に迷惑かけられなかったから・・・」 ・・・何だ・・・この雰囲気は・・・ アメリカンコメディーが  ホラーテイストになって  今や感動ドキュメンタリーものになってるような気がする・・・。
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