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PM 7:00(悟サイド)
「じゃあ皆さん グラスをお持ちくださいっっ!!」
エッコがワイングラス片手に高らかな音頭をとる。
「俺 缶ビールなんだけどな(笑)」
「康介 いつもビールだったもんなー」
「私ノンアルで・・・」
「チョット待って!今炭酸水で割るから!」
「んもー!まとまり皆無っ(笑)」
ガヤガヤと 懐かしい雰囲気が戻ってきた。
「はいっ じゃあ改めまして!」
「「「「「カンパーイ!!!!!」」」」」
音こそならないが、皆で飲み物を揺らした。
こうやって顔を見合わせて飲むのは何年ぶりだろうか。
大学を卒業してから、もう1年近くになる。「1年」と言うと、たったそれだけ?と思うかも知れない。でも、まるで示し合わせたかのように同じ学科で会い、ほぼ毎日のように過ごしていたことを考えると、1年というのは結構な長さだった。
「しかしみんな変わらないなーーー!」
缶ビールをひと口のんだトモが唇を切った。
「ほんと!あの時とおんなじ!」
「そうだねー♫」
エッコに同調するように、愛奈も首を縦にふる。
「エッコは今東京だっけ?」
「そー!晴れて東京デビューしました!」
「劇団シャムロックだよね?今度見に行きたいなー」
「でもいつ開演できるか分からないんだよね―。チケットも払い戻しになっちゃうし。」
女子のフリートークが続きそうになったので、俺も話しかけてみる。
「えっと トモは今 大学院?」
「うん 大学院。野木沢とかと一緒のゼミだわ。」
「あいつ元気にしてる?」
「ナンパ 3連敗中(笑)」
「っっハハハッ!!!だと思ったわ!」
「懲りねーねぁ、そのうち教授に見つかるぞっ」
5人の笑い声が重なる。
本当にみんな 変わらない。
まるで大学時代に戻ったようだ。
変わらないノリ 変わらない仕草 変わらない会話
本当に?
本当に こうも変わらないものだろうか・・・
いささか疑問を抱きながら、俺は柑橘風味のチューハイを飲んだ。
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