あの時の君の手の温もりを生涯忘れないよ

3/6
前へ
/6ページ
次へ
頑張った甲斐あっていつしか僕は理沙の彼氏に昇格した 大学も卒論も就活もやれるだけのことはやり切った 理沙は理沙で医療の国家資格に向き合って日夜勉強をしていた もう、会えない時間も不安は無かった お互いに就職して3年が過ぎようとしていた その頃になると僕たちは結婚を意識しはじめて、毎月貯金をしようということになった それはそれで楽しいことで ぼくはやる気マンマンで頑張り過ぎたのかも知れない 同期で一番乗りで本社勤務の辞令を手にした が、しかし半年ほどした頃、体調に異変を感じ始めたんだ でも誰にも言わなかった 勿論、理沙にも 心配掛けたくなかったんだ 実は本社では、常務に可愛がってもらっていたのでその事をよく思わない上司のパワハラ、モラハラをくらっていたんだ 次第に体調が悪くなり心臓に痛みが走るようになった もう出勤できないほど体調が悪い まず浮かんだのは理沙と結婚したくて頑張ってきたのにこんな不甲斐ない男ではご両親に許可してもらえないのではないか、ということだった ぼくは母に連絡して医者に行くことにしたんだけど心療内科なんじゃないの、と言われてしまった 母は本社に行くにあたり、 何かあったら仕事なんてやめちゃいなさいと言っていた 折しも、過労死自殺などが世間を騒がせていたときだったからだ
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加