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雲透きて照る夜の星は顔隠し
水面揺る口碑に君を追懐す
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ある日のことだった。
同じ文芸部の女の子に、星を見に行かないと誘われた。
その子とはただ部活が同じだけで、話したことは一度もなかった。
それに僕は川柳、女の子は小説だ。
何が問題かといわれれば、考え方が違うってことだ。
「ここってとある伝説があってね。なんでもカップルになった瞬間、お祝いするかのようにぱぁーっと星が降るんだって。でもカップルになれなかったら破局を表すかのように星が心臓めがけて降ってくるらしいよ」
月を背にしている女の子の表情はうっすらとしか見えない。
女の子は湖を囲う柵のようなものに腰掛けていた。
「怖い話だな。もしかして破局した奴らがお星様になったなんていわないよな」
対して僕は、真正面に立っている。僕の影が、女の子から逃げるように伸びていた。
「面白いよね、この話」
「ああそうだな。わざわざこの話を今されたってことはつまり、そういうことだよな」
「うん」
「そっか、じゃあ僕の選択肢は一つしかなくなった」
「本当?」
「あぁ、もちろん嫌だね」
「残念」
瞬間、轟音が響く。カメラのフラッシュのような光を直視してしまい、女の子の姿が目に焼き付き、離れない。
『じゃあね、歩くん』
女の子の口は、そういっているように動いた。
僕も別れの挨拶をしなきゃなと思う。
「じゃあな、星」
聞こえてないだろうけーー
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歩くんが死んだ夜。
題名はこれがいいな。
少し長いから、短くしよう。
全部ひらがなの方がいいよね、きっと。
“ “
うん。これにしよう。
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